まずは結論
- サハラの目=リシャット構造(Richat Structure)は、モーリタニアの砂漠にある直径約40〜50kmの同心円状地形。
- 正体は地殻のドーム(隆起)と侵食がつくった地質構造の露頭で、人工遺跡ではない。
- アトランティスの跡”説はロマンだが、考古学的・地質学的根拠は見つかっていないのが現在の結論。
Contents
基本データ(早見表)
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| 正式名 | Richat Structure(リシャット構造) |
| 通称 | サハラの目(Eye of the Sahara) |
| 位置 | モーリタニア・アドラール高地周辺(サハラ砂漠内陸) |
| 代表座標 | 21.124°N, −11.396°W(おおよその中心) |
| 大きさ | 直径 約40〜50km(同心円の外縁まで) |
| 見どころ | 衛星写真・航空写真で際立つ青系の“目”の輪郭 |
| 現地アクセス | 4×4の砂漠走行・許可・ガイドが前提(観光整備は限定的) |
マップ(Googleマップ)
その場で場所とスケール感を掴めるよう、中心付近に合わせたGoogleマップを貼っておきます。拡大・航空写真切替で“目”の輪郭がはっきり見えます。
Google Earth のコツ:検索窓に 21.124, -11.396 を入れて少し傾けてズームアウト→同心円がより立体的に見える。
なぜ“目”になる?――地質の実像を2分で
- もともと地下に丸い“ドーム”ができる
地下深くの花崗岩(火成岩)や堆積岩が緩く盛り上がり(ドーム)、上にある地層を押し上げる。 - 硬さの違う地層が同心円で並ぶ
隆起で古い地層が中央に現れ、外側に新しい地層が取り巻く円構造に。 - 風と水が差別侵食
硬い岩は残り、柔らかい岩は削られるため、輪っか模様が強調されて“目”のように見える。
→ 要するに、地下の構造+長い侵食が**衛星スケールの“絵”**を描いた、というのが現在の科学的理解です。

“アトランティス説”は本当?(結論だけ先に)
- ロマンはある:円形・海に通じる古い川筋・衛星での見映え…想像をかき立てる要素は多い。
- しかし:人工遺構や古代都市に直結する考古学的証拠はない。地質・年代・堆積物・人工物の有無など、検証できる点が一致しない。
- 総括:“物語としての可能性”と“科学としての説明”を切り分けて楽しむのが、いまの最適解。
どうやって見ればいい?(Googleマップ/アース上達メモ)
- マップ:「地形」より「航空写真(衛星)」に切替。ズームアウトすると同心円の全体像が掴める。
- アース:傾斜ビューで太陽光(時刻変更)を動かすと段差の影が効いて輪郭が際立つ。
- 比較:近隣の砂丘や岩山と色・質感の違いを見比べると、“目だけ別格”であることが分かる。
観光はできる?(現地のリアル)

- 結論:可能だが上級者向け。舗装路から外れると4×4の砂漠走行/ルート把握/燃料・水・衛星通信が要る。
- 前提:許可・現地ガイド・複数台コンボイが安全の最低ライン。独自行動は不可と考えてよい。
- ベスト:乾季(おおむね冬季)。昼夜の寒暖差・砂塵・風向に留意。
- 心得:遺物採集×/ドローンはルール順守/砂上に痕跡を残さない。
よくある質問
Q
どこにある?国は?
A
モーリタニアの内陸、サハラ砂漠の中にあります。地図では西サハラの南東〜マリ北部の西あたりを拡大。
Q
大きさは?
A
直径約40〜50km。東京23区の長径に匹敵するスケール感。
Q
なぜ円い?
A
地下のドーム構造+差別侵食で、硬さが異なる地層が輪状に露出したため。
Q
本当にアトランティス?
A
現在のところ科学的な裏づけは無い。ロマンとして楽しみつつ、地質学の“実像”を知るのが吉。
Q
観光は可能?
A
可能だが準備が重い。ガイド・許可・4×4・衛星通信・水と燃料の管理が基本。単独行は避ける。
まとめ
サハラの目は、大地が何百万年もかけて“自画像”を描いた結果。
ロマン(アトランティス)とサイエンス(地質)の距離を上手く楽しみながら、衛星で観る→知る→現地へ行くなら安全第一の順で、じっくり味わおう。