水(H₂O)も、二酸化炭素(CO₂)も、同じ「分子」なのに、性質はまったく違います。
この違いを生むカギは、分子の“構造”や“形”にあります。
化学が苦手だった方も、この記事を読み終える頃には、
「なぜ分子の構造が重要なのか」「どうやって形が決まるのか」が、図解と具体例でスッキリ理解できます。
分子構造とは何か?形が決まる理由を解説
分子の構造=原子の並び方+結合の角度
分子構造とは、原子どうしがどんな順番・角度・距離で結びついているかを示したものです。
例:水(H₂O)は、V字型
→ 酸素原子を中心に、水素原子が約104.5°の角度で配置される構造です。

この角度の違いが、物質の性質に大きな影響を与えます。
代表的な分子構造の例とその特徴
分子名 | 構造(形) | 特徴と影響 |
---|---|---|
H₂O(水) | 折れ線(V字型) | 極性がある→水は他の物質を溶かしやすい |
CO₂(二酸化炭素) | 直線型 | 極性が打ち消し合う→中性で安定 |
NH₃(アンモニア) | 三角錐型 | 極性あり→反応性が高い |
CH₄(メタン) | 正四面体型 | 非極性→安定で燃料に適している |
このように、「形」が「性質」を決めるのです。
分子構造を決める化学結合の種類
分子を作るうえで重要な「結合」。その種類によって、構造も変わります。
共有結合(covalent bond)
- 原子が電子を“共有”することでできる結合
- 水(H₂O)や二酸化炭素(CO₂)など、身近な分子の多くはこのタイプ
イオン結合(ionic bond)
- 原子が電子を“受け渡す”ことで正負のイオンになり、引き合う
- 例:食塩(NaCl)→Na⁺とCl⁻が電気的に結合

共有結合の構造は方向性があるため立体構造になる、イオン結合は全方向に広がる結晶構造になるのが特徴です。
※関連記事:分子とは何か?原子との違いを図解
分子構造をどうやって描く?ルイス構造式とモデル
分子の構造を表す方法にはいくつかあります。
1. ルイス構造式(電子式)
- 電子の位置と共有の様子を「点」で示す
- 初学者にも理解しやすい
例:H₂O
H:O:H
2. 構造式(平面図)
- 原子間の結合を「線」で描く
- 方向性や結合の数が一目でわかる
例:
H–O–H
3. ボール・アンド・スティックモデル(球棒モデル)
- 原子:色つきの球
- 結合:スティックで表現
- 立体構造を視覚的に把握しやすい
4. 空間充填モデル(スペースフィリングモデル)
- 原子の大きさや密度感を再現
- 実際の分子に近い印象を与える
分子構造はどう決まる?VSEPR理論でわかる形のルール
VSEPR理論(電子対反発理論)とは、分子構造を決定する理論のひとつです。
原理:
「原子のまわりにある電子のペア(電子対)は、お互いに反発し合うので、できるだけ離れた位置に配置される」
この法則を使うと、次のように形が決まります:
- 結合2つ → 直線型(CO₂)
- 結合3つ → 三角形(BF₃)
- 結合4つ → 正四面体型(CH₄)
- 電子対が1つ余る → 折れ線型(水 H₂O)

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分子構造を変えるとどうなる?薬・素材・DNAの世界
- 薬の効き目は分子構造で決まる(同じ成分でも形が違うと効かない)
- 素材の強さ・軽さも分子の配列と構造次第(例:炭素繊維)
- DNAのらせん構造も、分子構造が鍵
つまり、分子の構造は、生命や産業の基本設計図なのです。
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親子トークタイム!子供に伝える方法
子供にこう話してみよう!
「同じ水でも、形が違ったら性質も違うんだよ。水の分子は“Vの字”にくっついているから、いろんな物を溶かせるんだって。じゃあ、この模型でその“V”を一緒に作ってみようか!」
触れることで、見えない世界が「現実の形」として見えてきます。
まとめ
- 分子構造は、原子の並び方と角度で決まり、物質の性質に直結する
- 共有結合・イオン結合で構造は変わる
- 平面図だけでなく、立体で理解するのが本質への近道
- 学習には模型キットを使った「触れる体験」が非常に効果的
- 構造を理解することは、化学・医学・材料科学など幅広い分野の基礎となる