青く美しい見た目から、「宇宙でいちばんきれいな星」とも呼ばれる惑星があります。
けれどその正体は、**時速7000kmの風と、横殴りのガラスの雨が吹き荒れる“過酷すぎる世界”**なのです。
この記事では、そんな“危険な美しさ”を持つ惑星「HD 189733 b」について、科学的な視点でやさしく紹介します。
宇宙のしくみと、見た目だけではわからない中身のギャップに注目です。
宝石のように青い惑星の正体
HD 189733 b(エイチディー 189733ビー)は、地球から約63光年離れた場所にある巨大なガス惑星です。
その外観は深い青色をしていて、見た目だけならまるで海に包まれた地球のように見えます。
この青色は海ではなく、大気中のシリカ(ガラスのもとになる粒)が恒星の光を散乱させることで生まれる色だと考えられています。
でも、その内側はまったく別の世界です。
HD 189733 bってどんな星?
- 分類:ホット・ジュピター型(巨大ガス惑星)
- 大きさ:木星に近い
- 公転周期:2日弱(自転と同期)
- 表面温度:約1000℃以上
この星は、常に同じ面が恒星を向いているため、昼と夜の温度差が非常に大きく、その差によって猛烈な風が生まれます。
ガラスの雨と時速7000キロの風

HD 189733 bのもっとも衝撃的な特徴は、ガラスの雨が降るとされていることです。
星の大気にはシリカ(ガラスのもと)が含まれていて、恒星からの強いエネルギーと高温の環境によって、微細なガラスの粒が大気中に形成されると考えられています。
これが時速7000kmもの風に乗って、横殴りに降り注ぐ。
想像してみてください。
もしこの星に“立てた”としても、一瞬で細かいガラスの粒に打たれ、存在することすらできないほどの環境です。
親子トークタイム!子どもに伝える方法
この星の話題は、「見た目と中身のギャップ」に気づくきっかけをくれます。
きれい=やさしい、安全、とは限らない。科学の世界では、表面を超えて“しくみ”を見ようとすることがとても大事です。
問いかけの例:
- 地球と同じ青でも、なぜ中身がちがうの?
- ガラスってどうしてできるの?
- どうしてそんなに速い風が吹くの?
自然への疑問から、「科学的に考える力」が育ちます。
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まとめ:宇宙の“美しさ”は、見た目だけじゃない
HD 189733 bは、見た目の美しさと、想像をこえるような過酷な環境をあわせ持つ、まさに“宇宙のギャップ”を感じさせる惑星です。
この星を通して学べるのは、「何が起きているのか」を、しくみや理論から考えてみることの大切さ。
科学の視点は、好奇心をさらに深く育ててくれます。