宇宙には、まるでSF映画のような星が本当に存在します。
今回紹介するのは、「空から鉄の雨が降るかもしれない」と言われている惑星、WASP-76b(ワスプ76ビー)です。
名前はちょっと難しそうですが、そのしくみを知れば知るほど、「こんな世界が本当にあるんだ」と驚きたくなる不思議がつまっています。
WASP-76bはどんな星?
WASP-76bは、地球から約640光年の距離にある巨大なガスの惑星です。
特徴的なのは、星のまわりをぐるぐる回るスピード。たった約2日で1周してしまうほど、恒星にとても近い場所を回っています。
この星にはもうひとつ、特別な特徴があります。
それは、地球の月と同じように自転と公転がぴったりそろっていて、いつも同じ面を恒星に向けていることです。
そのため、昼側は恒星の強い光を受け続け、気温は2400℃をこえる超高温に。
一方、夜側は日が当たらないため、昼よりもずっと温度が低くなります。
鉄の蒸気が風に乗って、雨になる?

この星の昼側は、あまりの高温のため、金属である“鉄”さえも気体になると言われています。
蒸発した鉄は、風に乗って星の夜側へと流れていきます。
そして、夜側で気温が少し下がると、空気中の鉄が液体となって凝結し、雨のように降り注ぐ——これが、「鉄の雨」と呼ばれる現象です。
地球では想像できないようなことですが、実際に天文台の観測チームによって、鉄の蒸気の存在が検出されたと報告されています。
「鉄の雨」が降る星の空って、どんな感じ?
もしも、WASP-76bに立つことができたなら——
そこでは、蒸気のような鉄が空を流れ、赤く光る金属のしずくが夜の空からしずかに降ってくる。
そんな世界では、傘なんて意味がなく、空気そのものが重く熱い金属でできているかもしれません。
もちろん実際に立つことはできませんが、科学的な知識からそうした想像ができることが、この惑星の面白さです。
親子トークタイム!子どもに伝える方法
この話題は、子どもにとっても「なんで?」「どうして?」が自然に生まれるテーマです。
たとえば、こんな話題につなげてみましょう:
- 鉄は普通、どんな状態? 温度が高いとどうなる?
- 水も、氷・水・水蒸気に変わるよね? 鉄だって同じように変わるの?
- 地球では鉄の雨が降らないのに、どうしてこの星では降るの?
こうした問いから、「物質は温度や圧力で変化する」という科学の基本に触れることができます。
関連記事:
ガラスの雨が降る惑星がある?青く輝く“危険な星”の正体とは
https://think-with-kids.com/glass-rain-planet
鉄の雨だけじゃない!宇宙にはこんな星も
WASP-76bのような過酷な世界は、宇宙ではそれほど珍しくないのかもしれません。
関連記事:
水の惑星が存在する?地球に似ていてまったく違う“海の惑星”とは
https://think-with-kids.com/water-planet-guide
宇宙には“ダイヤモンドでできた星”がある?名前やしくみをやさしく解説
https://think-with-kids.com/diamond-planet-guide
こうした星たちを見ていくと、「宇宙の天気」や「物質のふるまい」の奥深さにワクワクが止まらなくなります。
まとめ:星の“天気”は、地球ではありえないほどダイナミック
WASP-76bでは、空から鉄が降るかもしれない。
それは、地球とはまったくちがう「もうひとつの現実」です。
この話をきっかけに、「星にも天気があるんだ」「物質って、いろんな顔があるんだ」と感じられるようになれば、それはとても素敵な第一歩。
想像をこえる宇宙の姿から、科学をもっと身近に感じてみませんか?