最近、天文学者たちが驚くべき発見をしました。北斗七星の方向から約2時間おきに30秒から90秒間続く電波が届いていることがわかったのです。発信源を調査した結果、この電波は地球から約1600光年離れた赤色矮星(わいせい)と白色矮星の連星から届いていることが判明しました。
この発見は、オランダ電波天文学研究所や英オックスフォード大学などの国際研究チームによって行われ、2024年3月17日までに英天文学誌「ネイチャー・アストロノミー」に発表されました。
赤色矮星と白色矮星の連星とは?
赤色矮星とは?
赤色矮星は、宇宙に存在する最も一般的な種類の恒星です。質量が小さく、低温で長寿命な星であり、太陽よりもはるかに暗い光を放っています。今回の発見では、この赤色矮星が白色矮星と連星を成していることが判明しました。
白色矮星とは?
白色矮星は、太陽のような恒星が寿命を迎えた後に残る、小さく高密度な天体です。核融合反応を終え、中心部分だけが残った状態であり、非常に高温ながら光が弱いため、観測が難しい天体でもあります。
今回の連星系では、この2つの星が共通の重心の周りをおよそ2時間で公転しており、その運動が周期的な電波の発信につながっていると考えられます。
なぜこの電波は特別なのか?
天文学者にとって、周期的に電波を放つ天体はすでにいくつか知られています。その代表例が**パルサー(中性子星)**です。パルサーは、強い磁場を持ち、高速回転する中性子星で、電波を短い周期で放出することが知られています。しかし、今回の発見は以下の点で特異です。
- 電波の周期が約2時間と長い:パルサーの電波周期は数秒程度であることが一般的ですが、今回の電波は約2時間という非常に長い周期を持っています。
- 中性子星を含まない連星が発信源である:パルサーは超新星爆発の残骸である中性子星によって発生しますが、今回の電波の発信源は赤色矮星と白色矮星であり、中性子星を含みません。
- 磁場の相互作用が原因と考えられる:白色矮星と赤色矮星の磁場が絡み合うことで、電波が発生していると推測されています。これは非常に珍しい現象です。
どのようにして発見されたのか?
研究チームは、欧州の電波望遠鏡「LOFAR」の観測データを分析し、2015年から2020年にかけてこの電波が継続的に届いていたことを確認しました。その後、米国の光学望遠鏡を使用して、発信源を特定しました。
まず、赤色矮星を発見し、次に電波発信と同期した動きから白色矮星との連星であることを突き止めたのです。そして、地球から見て2つの星が一直線に並ぶタイミングで電波が発信されていることが明らかになりました。
【おやこトークタイム!】子どもに伝える方法
宇宙に関するニュースは、子どもたちにとってもワクワクする話題です。今回は、子どもが理解しやすいようにこの発見を説明する方法を紹介します。
子どもにこう話してみよう
「夜空に光っている星が、地球に向かって電波を送っているんだよ。2時間ごとにピッピッと信号みたいな電波が届いていて、科学者たちが『これは何だろう?』と調べていたんだ。
すると、小さな星(赤色矮星)と、もっと小さくてぎゅっと詰まった星(白色矮星)がペアになって、ぐるぐる回っていることがわかったんだ。
たとえば、磁石を近づけるとピタッとくっつくことがあるよね? それと同じで、星にも特別な力があって、近くにあるとその力がぶつかり合って電波を生み出すんだ。
この電波は、遠い宇宙から地球まで届いているんだよ。すごいよね?」
関連書籍の紹介
宇宙についてもっと知りたい人のために、おすすめの本を紹介します。
『宇宙のふしぎ 100』
宇宙に関するさまざまな疑問をわかりやすく解説した一冊。子どもと一緒に楽しく学べます。
『天文学入門』
初心者向けの天文学の本で、今回の発見のような電波天文学についても触れています。
まとめ
今回の発見は、赤色矮星と白色矮星の連星が約2時間ごとに周期的な電波を発信しているという珍しい現象でした。これは、磁場の相互作用による新しいタイプの電波源として、今後の研究に大きな影響を与える可能性があります。
宇宙はまだまだ未知のことばかりです。このような発見が積み重なり、私たちが宇宙をより深く理解できるようになる日が来るのが楽しみですね。