まずは結論
トルクメニスタン・カラクーム砂漠のまんなかに口を開ける、燃え続けるガスの大穴がダルヴァザ(通称:地獄の門)。
近年は炎が目に見えて弱まる夜も増え、将来的な鎮火・立入制限の可能性がささやかれています。行くなら「見られるうちに、無理なく安全に」が合言葉。
基本データ
| 指標 | 値 | メモ |
|---|---|---|
| 通称 | 地獄の門(Darvaza Gas Crater) | 現地では単に“クレーター”と呼ばれることも |
| 場所 | カラクーム砂漠・アハル州 | 首都アシガバートから北へ約260km |
| 規模 | 直径およそ70m/深さおよそ30m | 夜は炎の輪郭が分かりやすい |
| 起源 | 1970年代の掘削で露出したガス孔が点火 | 詳細は諸説、理屈は「出る→燃える」でシンプル |
| 近況 | 弱火化の傾向/閉鎖・鎮火の可能性あり | 最新状況を現地手配で確認を |
どこにある?どうやって行く?
大陸の真ん中、砂の海を4WDで数時間。舗装が途切れると波打つ砂丘と低い潅木が続き、夕暮れに穴へ着くと、遠くからでも赤い息づかいが見えてきます。
定番はアシガバート発・1泊2日。夜の炎を見たあと、星空の下で砂漠キャンプ——これがダルヴァザ体験の王道です。

どうして燃えている?
仕組みは拍子抜けするほど単純。地層の天然ガス(主成分はメタン)が地表へ吹き、火がついた——それだけ。ガスの供給が長く続いたから、結果的に“延々燃え続ける”光景になりました。特殊な超常現象ではなく、「燃えるべきものが、燃えている」だけです。
いま何が起きている?(弱火化のリアル)
炎はつねに同じ強さではありません。風や気温、ガスの出方で日ごとに表情が変わります。近年は“小さく静かな夜”が増え、現地でも消火・封鎖の話題が出るほど。
「燃え盛る地獄の門」ではなく、“呼吸する火の縁”を見る心づもりで行くと、がっかりせずに済みます。
危険とマナー(“落ちた人”の前に知っておくこと)
縁は砂質で脆く、強い上昇気流と熱気、ときにガス臭。
- ロープ・柵は常設されません。夜は暗く、足元の錯覚が起きやすい。
- 進入線の外側からロングで眺めるのが基本。しゃがみ込み・自撮り棒の前屈みはNG。
- 風が荒れる日は接近をあきらめる勇気を。
SNSの武勇伝より、無事に帰るほうがずっとクールです。
観光の実務(2025年版・ざっくり)
- 手配:ビザは現地手配会社の招待状で進めるのが一般的。砂漠走行は4WD+経験者が前提。
- 季節:春・秋が快適。夏は酷暑/冬夜は極端に冷える。日較差をなめない。
- 装備:砂よけのバフやゴーグル、防寒・防風、ヘッドライト、飲用水。
- 保険:搬送費が跳ね上がる土地。救援者費用つきで。
- 最新情報:弱火化・封鎖は動くので、直前確認は必須。
見どころと撮影のコツ
- 赤×黒の対比:夕暮れから夜がベスト。月が細いほどコントラストが出ます。
- 星空:砂塵が落ち着いた夜は天の川が圧巻。炎の明かりを背に、広角で。
- 安全第一のフレーミング:縁へ寄る代わりに、長めの焦点距離で吸い込まれる感を演出。

1泊キャンプは“儀式”
テントを立て、風を読み、砂の上に小さなキッチン。遠くで火の穴がゴウと息をする。夜更けに一瞬風が止まり、音が消える瞬間がある——その刹那の静寂を知ると、写真や動画には映らないダルヴァザが胸に残ります。
よくある質問・疑問
はい。 ただし夜によっては炎が低く静かなこともあります。
行けますが自己責任。 進入線の外から、ロングで安全にが基本です。
確かな記録は多くありませんが、落ち得る環境です。縁に近づかない、風が強ければ撤退、が正解。
春と秋。 夏は酷暑、冬は夜の底冷えに備えを。
まとめ
ダルヴァザは“危険なアトラクション”ではなく、地球の呼吸をそのまま見る場所。
近づきすぎない、無理をしない、最新情報を確かめる。
それだけ守れば、赤い縁取りの夜は、きっと長く記憶に残ります。