「夫婦別姓に賛成!」という声が目立つ一方で、政治の世界ではいまだに慎重な姿勢が根強く残っています。
特に、自民党の保守派や高市早苗議員といった政治家は、夫婦別姓に対してなぜ反対するのでしょうか?「家族がバラバラになる?」「伝統が崩れる?」──反対理由には、表向きのロジックと根底にある本音の両方が存在します。
この記事では、制度的・思想的・文化的背景から、反対派の主張をわかりやすく掘り下げていきます。
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表向きの反対理由:制度と家族の安定
1. 「家族の一体感が失われる」
最もよく挙げられるのが「家族なのに名字が違うと、一体感がなくなるのでは?」という懸念です。
確かに、家族全員が同じ名字であれば、見た目にも“家族感”があります。別姓になると「子どもの名字は?」「保育園や学校で説明が必要?」など、実務上の不安も出てくるかもしれません。
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2. 「制度が複雑になり混乱する」
夫婦別姓の導入には、戸籍制度や住民票の見直し、行政システムの変更が必要となるため、手間やコストの面で敬遠する声もあります。
「姓が違う夫婦をどう戸籍に記載するのか」「国民全体がその変化についていけるのか」といった制度的な課題が、反対理由として語られています。
3. 「子どもの姓をどう決める?」
別姓夫婦の間に子どもが生まれたとき、「どちらの姓にするか」という問題は必ず発生します。兄妹で違う姓にするのか、親とどちらかが違う姓になるのか…。
「子どもに混乱を与える」「いじめの原因になる」といった主張もあり、慎重論に拍車をかけています。
本音としての反対理由:価値観と保守性
1. 「伝統を守りたい」
夫婦別姓を導入していない国は、世界で日本だけになりつつあります。それでも反対する人たちが多いのは、「日本の家族制度の伝統を守りたい」という気持ちがあるからです。
名字を共有することで家を継ぐ、親戚関係を築く、といった価値観が根深く存在しており、姓の分離はそれを壊すと見なされがちです。
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2. 「女性の社会進出とセットで見ている」
夫婦別姓の議論が広がる背景には、女性のキャリア継続や男女平等といったテーマがあります。
保守的な政治家の中には、「家庭より仕事を優先するのか」「伝統的な男女の役割が壊れるのでは?」と危機感を持つ人もいます。
つまり、単に名字の話ではなく、社会全体の価値観の変化に対する抵抗が根底にあるのです。
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3. 「支持層の顔色を見ている」
政治家が夫婦別姓に反対する背景には、「保守的な有権者の反発を恐れている」というリアルな事情もあります。
たとえ本人が柔軟に考えていたとしても、反対派の声が大きい地域であれば、制度変更を進めるのは難しい…という現実的な“空気”があるのです。
実は「反対=拒絶」ではない?
ここで押さえておきたいのは、多くの反対派が「全ての夫婦別姓を否定しているわけではない」という点です。
「強制的な別姓には反対だが、選択的なら考えてもいい」「旧姓使用の範囲をもっと広げて対応すべき」など、柔軟な意見も増えつつあります。
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まとめ
夫婦別姓に対する反対の理由は、大きく分けて次の2つに整理できます。
- 表向きの理由:家族の一体感、子どもへの影響、制度の混乱
- 本音の理由:伝統的価値観、性別役割観、保守的支持層への配慮
「夫婦別姓=よいこと」と一足飛びに結論づけるのではなく、反対する側の不安や背景をしっかり理解することで、より建設的な議論ができるはずです。