「昔は庭の近くでホタルが見られたのに、最近まったく見なくなった」
そんな声が全国から聞かれるようになりました。ホタルは、かつて日本の夏の風物詩として、どこでも見られる存在でした。
でも今、そのホタルが絶滅の危機にあることを知っていますか?
この記事では、ホタルが減ってしまった本当の理由と、私たちができることを、子どもにも伝わるようにわかりやすく解説します。
なぜホタルが減っているの?──5つの主な原因
ホタルの数が減少しているのは、単なる「運」や「気候」のせいではありません。人間の活動による影響が大きく関係しています。
① 水質の悪化
ホタル(特にゲンジボタル)の幼虫は、水中で「カワニナ」という巻貝を食べて育ちます。
このカワニナは、水がきれいでないと生きられないため、農薬・生活排水・工業排水などによる水質汚染がホタルの生息環境を奪っているのです。
② 生息地の開発(都市化)
川の護岸工事や、田んぼの区画整理、住宅開発により、ホタルが暮らしていた草むらや水辺の環境が失われています。
草を刈りすぎたり、照明が増えたりすることで、光を使って求愛するホタルにとって住みにくい世界になっているのです。
③ 外来種による影響
ホタルの幼虫が食べるカワニナを捕食する外来種の魚やザリガニが増えたことで、餌となる生き物が減少しています。
また、一部のホタル公園で他地域のホタルを放流することで、地域固有種が減っているという問題も。
④ 気候変動
集中豪雨や長期間の高温など、気候変動による水辺環境の不安定化も影響しています。
ホタルの成長サイクルに合わない環境が続くと、繁殖できない年が増えてしまいます。
⑤ 観賞マナーの悪化
SNSや観光ガイドで話題になると、人が大量に押し寄せてしまうことがあります。
- フラッシュ撮影
- 捕まえる
- 騒音やライトでの照らしすぎ
こうした行動が、ホタルのストレスになり、繁殖を妨げる原因にもなります。
ホタルは絶滅危惧種なの?
■ 日本の野生ホタルの実情
環境省のレッドリストでは、ホタルのなかでも特に**「ヒメボタル」や「オバボタル」など複数種が準絶滅危惧・絶滅危惧種**に指定されています。
ゲンジボタルやヘイケボタルはまだ比較的安定していますが、減少傾向にあるのは間違いありません。
「見た目が同じ」でも、地域ごとに遺伝的な違いがあるため、一律に放流するのはむしろリスクとされています。
守られている場所もある──全国の保護活動
■ 地域ぐるみでホタルを守る成功例
- 福岡県星野村(八女市):水路と周辺の自然環境を地域一体で保全
- 滋賀県守山市:ホタルの森プロジェクトで市民・行政・子どもが協力
- 東京都あきる野市:ホタルの里づくりとして、護岸整備を最小限に抑制
こうした地域では、「ホタルが戻ってきた!」という報告が数年単位で増えています。
私たちにできることはある?
「環境保全」なんて聞くと、難しく聞こえるかもしれません。でも、家庭や学校、地域単位でもできることはたくさんあります。
家庭でできること
- 合成洗剤を控える(排水の汚染防止)
- 雨水の流れを考えて、庭に草を残す
- 夜間照明を控える(外灯をセンサー式に)
学校や地域でできること
- 「ホタル観察マナー」の学習
- 簡易ビオトープの作成と観察活動
- 地元ホタルスポットのクリーン活動
親子でできること
- ホタルを捕まえない・持ち帰らない
- ゴミを持ち帰る
- その場でそっと見守る
「ホタルは、光るだけじゃなくて、自然を守れているかのバロメーターなんだ」と伝えましょう
親子トークタイム!子どもに伝える方法
子どもにこう話してみよう!
「ホタルってね、きれいな川と静かな夜じゃないと生きていけないんだよ。だから、ホタルがいなくなったってことは、自然も苦しんでるのかもしれないよね。じゃあ、私たちはなにができるかな?」
まとめ
- ホタルの減少は、水質汚染・開発・気候変動・マナーの低下など複合的な原因がある
- 絶滅危惧種に指定されている種類もあり、地域固有種の保護が重要
- 私たち一人ひとりが、生活の中で小さなアクションを取ることでホタルを守ることができる
- ホタルは単なる「光る虫」ではなく、自然環境のバロメーター
次は、「家でホタルを育てることはできるの?」について考えてみましょう。
→ 続きはこちら:家でホタルを育ててみよう!飼育と観察のヒント