「ホタルって、実はゴキブリの仲間なんだよ」
そう聞いて驚いたことはありませんか?
子どもが学校やネットで見聞きして、びっくりして聞いてくることの多いこの話。
この記事では、「ホタル=ゴキブリ説」の真偽と、その背景にある昆虫の分類学的な視点をわかりやすく解説します。
子どもの「えっ、ホントなの!?」に、正しく・楽しく答えられるように一緒に学びましょう。
結論:ホタルはゴキブリの仲間ではありません
まずは結論から。
ホタルはゴキブリの仲間ではありません。
ホタルは「コウチュウ目(甲虫目)」という昆虫のグループに分類され、カブトムシやテントウムシの仲間です。
一方、ゴキブリは「ゴキブリ目(正式にはシロアリ目または網翅目と再分類されることも)」で、系統的にもまったく別のグループに属します。
なぜ「ホタル=ゴキブリ説」が広まったの?

この都市伝説には、いくつかの理由があります。
① 幼虫の姿が似ている?
ホタルの幼虫は平たくて黒く、節のある体をしており、ゴキブリの幼虫に一部見た目が似ています。
特に「森の中で見つけた黒い虫が光った」場合、ゴキブリと誤認されることがあります。
② 両方とも「夜に活動・素早く動く」
ホタルもゴキブリも夜行性であり、人間の目には「暗闇に出てくる虫」として同じ印象を与えます。
しかしこれは行動パターンが似ているだけで、分類上の近さとは関係ありません。
③ SNS・YouTubeなどでの誤情報
最近では、バズりを狙ったタイトルや動画で「ホタルって実はゴキブリ!」という煽り文句が出回っています。
こうしたセンセーショナルな誤情報が子どもたちの間で都市伝説として定着するきっかけになっています。
正しい分類で見るホタルとゴキブリの違い

項目 | ホタル | ゴキブリ |
---|---|---|
分類 | コウチュウ目(甲虫) | ゴキブリ目(網翅目) |
翅(はね) | 固い上翅があり、たたんで収納可能 | 柔らかく、羽ばたいて飛ぶ |
幼虫の成長 | 完全変態(卵→幼虫→サナギ→成虫) | 不完全変態(卵→幼虫→成虫) |
食性 | 幼虫は貝を捕食、成虫はほぼ食べない | 雑食性(生ごみ・油分なども摂取) |
生息場所 | 水辺や草むらなど自然環境 | 屋内・ゴミ置き場・湿った屋外など |
人との関係 | 夏の風物詩、観賞・研究対象 | 害虫とされ、駆除対象になることが多い |
ホタルは「益虫」ってほんと?

「害虫(がいちゅう)」という言葉がある一方で、「益虫(えきちゅう)」という考え方もあります。
ホタルは次のような点から、自然環境や人間社会にとって価値のある虫=益虫とされています。
- 水質の指標になる(ホタルがいる=水がきれい)
- 幼虫が生態系の一部としてカワニナを制御
- 観光資源になる(地域活性化)
- 教育・自由研究・環境学習に活用される
一方のゴキブリは、衛生面のリスクや感染症との関連もあるため、分類上は益虫とはされにくいです。
親子トークタイム!子どもに伝える方法
子どもにこう話してみよう!
「ホタルとゴキブリは、見た目がちょっと似てるかもしれないけど、ぜんぜんちがう仲間なんだよ。ホタルはカブトムシの親戚で、きれいな自然にしか生きられない虫なんだ。だからホタルがいる場所は、自然ががんばってるってことなんだね。」
まとめ
- ホタルはゴキブリの仲間ではなく、コウチュウ目(甲虫類)に属する
- 都市伝説は、幼虫の見た目や行動の似た点、SNSの誤情報などが原因
- ホタルは自然のバロメーターとして重要な存在で、教育的・環境的な価値が高い益虫
- ゴキブリと混同せず、正しい知識で生き物の多様性を理解することが大切
知ることで、自然の見え方が変わる。それが科学のおもしろさです。
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