ブラックホールはよく知られていても、「ホワイトホールってなに?」と聞かれると、答えに詰まってしまう人も多いかもしれません。
名前からして「白いブラックホール?」と思ってしまいそうですが、実はまったくちがう性質を持つ“宇宙の仮説上の存在”です。
この記事では、ブラックホールとホワイトホールの違いを、子どもにもわかるように、想像と理論を行き来しながら楽しく解説します。
ブラックホールは「吸い込む片道通路」
まずおさらいとして、ブラックホールはものすごく重い星がつぶれてできた、光も抜け出せない天体です。
事象の地平線という“境界線”を超えると、どんなものも中に戻れません。
だから「なんでも吸い込んでしまう穴」のように見えるのです。
▼ この仕組みについては、以下の記事でも詳しく紹介しています
ブラックホールの中ってどうなってるの?
ブラックホールとは、宇宙に存在する「重力の落とし穴」。
一度落ちると出てこられない“片道通路”のようなものなのです。
ホワイトホールは「逆向きの出口」?
ホワイトホールとは、「ブラックホールの反対にあるような存在」として、物理学の中で理論的に登場した仮説上の天体です。
一言でいうと…
- ブラックホール:すべてを“吸い込む”
- ホワイトホール:外に“吐き出す”
つまり、「入り口しかないブラックホール」に対して、ホワイトホールは「出口しかない」存在だと考えられているのです。
でも重要なのは、ホワイトホールはまだ誰も観測したことがないという点です。

【🌀 挿入画像①:ブラックホールとホワイトホールの“出入口比較”図】
本当にあるの?ホワイトホールの正体
ホワイトホールの存在は、アインシュタインの相対性理論の方程式を“時間を逆にして解く”ことで、数学的には成立するとされています。
- ブラックホールが「ものを飲み込む」なら、
- 逆に時間を巻き戻せば「ものを吐き出す存在」が計算上ありうる
──それがホワイトホールです。
ただし、それが実際に宇宙に存在しているかどうかは、まだわかっていません。
今のところ、ホワイトホールは理論上・数式の中にしかいない存在なのです。
ブラックホールとつながっている?

一部の理論では、「ブラックホールに落ちたものは、どこか別の場所のホワイトホールから出てくるのでは?」という発想があります。
これは「ワームホール」や「多次元宇宙」の考え方ともつながり、 「宇宙の裏側があるかもしれない」という想像をかき立てます。
現在の科学では、このアイデアを裏づける観測結果はありません。
ただし、ブラックホールの内部構造に関する理論と関係が深く、今も研究が進んでいます。
参考記事:
ブラックホールの中ってどうなってるの?
https://think-with-kids.com/blackhole-inside
蒸発するブラックホールと、ホワイトホールの可能性
ブラックホールは、永遠に存在し続けるとは限らない──
そう考えたのが理論物理学者のスティーヴン・ホーキングです。
彼が提唱したホーキング放射という現象によると、ブラックホールはわずかずつエネルギーを失い、最終的には消える=蒸発するかもしれないのです。
ではそのとき…
「ブラックホールが消えるとき、何かを“吐き出す”ような現象が起きるのでは?」
こうした仮説の一部に、ホワイトホールの存在が組み込まれることもあります。
親子トークタイム!子どもにこう話してみよう
「ブラックホールって、なんでも吸い込んじゃう“宇宙のすごい掃除機”みたいなものなんだよ。
でもね、もし“なんでも出してくる”ホワイトホールっていうのがあったら、どうなると思う?」
「まだ見つかってないけど、“宇宙の裏口”みたいな存在として、科学者たちが一生懸命調べてるんだって!」
出入口という身近なたとえを使うと、子どもたちも直感的に理解しやすくなります。
まとめ
ブラックホールとホワイトホールは、宇宙に存在するかもしれない“対になる概念”です。
ブラックホールは観測されており、物理的にその存在が裏付けられていますが、ホワイトホールはあくまで理論上の存在です。
それでも、「もしあったらどうなる?」という問いは、科学を前に進める強いエネルギーになります。
この2つの存在の違いとつながりを通して、子どもたちの想像力と知的探求心が育まれるきっかけとなるでしょう。