2025年春、世界の経済関係に再び緊張感が走りました。ヨーロッパ連合(EU)がアメリカ産品に対して予定していた「報復関税」の発動を、直前で延期したのです。
「EUが怒って関税をかけるって言ってたのに、なぜ延期?」「アメリカとはまたモメてるの?」──そんな疑問に答えるべく、今回の動きの背景、影響、そして“静かな貿易戦争”ともいえる対立の構図を解説します。
報復関税ってなに?なぜEUがアメリカに怒っているのか
そもそも今回の報復関税の発端は、アメリカのトランプ政権による鉄鋼とアルミニウムへの追加関税にあります。
「自国産業を守る」という名目で、アメリカ政府は海外から輸入される金属に高い関税をかける方針を打ち出しました。これに対して、EUは「一方的で不公平だ」と反発。対抗措置として、アメリカからの製品に関税をかける、いわゆる報復関税を準備していたのです。
対象となっていたのは、アメリカ産のウイスキー、大型二輪車、農産品など。金額にしておよそ4兆2000億円相当の規模に達すると言われていました。
なぜ発動を延期?4月1日から中旬へ
EUは当初、2025年4月1日から段階的に報復関税を適用する予定でした。しかし、直前になって発動時期を「4月中旬」に統一して延期すると発表しました。
この動きの裏には、EUとアメリカの間で続く水面下の交渉があると見られています。EU側は「経済への悪影響を避けるため、建設的な対話を行う準備がある」とコメント。つまり「けんか腰ではなく、話し合いの余地を残す」という柔軟な姿勢を示した形です。
また、EU内でも「今すぐに報復すれば、摩擦が激化する」という声があり、各国の足並みを揃える必要があったとも言われています。
アメリカはどう出る?ワインへの高関税という“逆報復”も
トランプ大統領は、EUの動きに対して強く反発しています。自身のSNSでは「EUが報復を続けるなら、EUのワインや酒に200%の関税をかける」と公言。これはいわば“逆報復”の予告とも取れる発言です。
実際、ワインはEUの主要な輸出品のひとつ。もしこれに重税がかけられれば、フランスやイタリアといったワイン大国にとっては大きな打撃となります。こうした威嚇を受け、EUが態度を一時的に和らげたとも考えられます。
親子トークタイム!子供に伝える方法
「関税」や「貿易摩擦」といった言葉は、大人でも難しく感じるかもしれません。でも実は、これは「ルールを守って、お互いに物を売り買いしようね」という、とてもシンプルな話です。
子供にこう話してみよう!
「たとえば、ある国が“こっちの自動車には特別な税金をかけます”って言ったら、もう一つの国は“じゃあ、あなたの国のジュースにも税金かけるぞ”ってやり返すことがあるんだよ。これが“報復関税”っていうんだ。
でも、お互いにそういうことばかりしてたら、友達になれないよね。だから今、ヨーロッパとアメリカは“話し合いで解決しよう”って頑張ってるところなんだよ。」
まとめ
EUが予定していたアメリカへの報復関税は、土壇場で延期されました。この一時停止の裏には、「経済を混乱させたくない」という慎重な判断と、「交渉のチャンスを活かしたい」という戦略的意図が見え隠れします。
関税というのは単なる数字のやり取りではなく、各国の産業、雇用、国民生活に直結する問題です。これからの世界では、「強さ」だけでなく「対話」が求められる時代。今後のEUとアメリカの動きにも注目が集まります。