「夫婦別姓って、そもそも法律的にOKなの?」
「憲法に違反してるんじゃないの?」
こんな疑問を抱いたことがある人は多いはずです。
日本の民法では「夫婦は同じ姓を名乗らなければならない」と定められていますが、これが憲法に照らして問題ないのかどうかは、これまで最高裁判所で何度も議論されてきました。
この記事では、「違憲かどうか?」というテーマを中心に、夫婦別姓をめぐる法律・憲法上の争点や判例の要点を、難しい用語を使わずに、わかりやすくお届けします。
まず夫婦別姓制度そのものの全体像を知りたい方はこちら:
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民法第750条と「同姓の義務」
現在の日本の法律では、民法第750条に次のような規定があります。
夫婦は婚姻の際に定めた氏を称する。
つまり、結婚する時点で夫婦はどちらかの姓(夫または妻のいずれか)を選び、それを共有しなければならないということです。
このルールの背景には、明治時代から続く“家制度”の影響が残っています。
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2015年・最高裁の判決:合憲と判断
夫婦別姓を希望する5人の女性が、「姓を選ぶ自由を奪うのは違憲だ」として、民法第750条の違憲性を問う訴訟を起こしました。
この裁判で注目されたのが、憲法13条・14条との関係です。
- 憲法13条(個人の尊重・幸福追求権)
- 憲法14条(法の下の平等)
最高裁大法廷は、この民法の規定は「合憲」であるとの判断を下しました(2015年12月)。
ただし、判決文の中では「今後の制度のあり方は、国会での議論に委ねられるべき」とも述べられており、違憲ではないが“望ましい形”とは限らないという含みを残しました。
2021年・再び違憲訴訟、でも判断は?
その後、2021年にも再度「夫婦同姓の強制は違憲ではないか」という訴訟が提起されました。
しかしこの時は、訴えの形式が不適切だったとされ、憲法判断そのものに入る前に却下されるという結果になっています。
この動きからも、司法が「制度の根本変更」には慎重である一方、議論の必要性は認めていることがうかがえます。
法律だけでは解決しない?民法と憲法の板挟み
この問題は、単なる法改正だけでは済みません。
なぜなら、民法の背後には「憲法の価値観」と「社会制度としての家族観」が密接に絡んでいるからです。
仮に違憲とされた場合:
- 民法750条の改正が必要
- 戸籍法など他の法律も連動して変える必要がある
- 家族の定義そのものを社会的に再設計する必要がある
こうした複雑さが、制度改革の遅れにつながっている一因とも言えるでしょう。
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政治・司法の“パス回し”が続いている?
現時点では、最高裁が「違憲」と判断する可能性は低いと見られています。
これは、司法が制度設計に直接関与することを避け、「立法府の判断に委ねるべきだ」とする姿勢が背景にあるためです。
一方、国会では賛成・反対が割れており、法案提出まで進んでも、なかなか可決には至らないのが現状です。
つまり、「司法も政治も、最終判断を相手にパスしている」ような状態が続いているのです。
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これから必要なのは「社会の声」
憲法や法律がすぐに変わるわけではありませんが、「世論」が制度の動きを後押しすることはあります。
実際、選択的夫婦別姓に関する調査では、20代〜40代を中心に賛成意見が過半数を超える結果も出ています。
法律は時代に合わせて変わるもの。
「違憲かどうか」を問うだけでなく、「社会にとって何が公平か」という視点がこれから一層重要になるでしょう。
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まとめ
- 民法750条により、夫婦は同姓を名乗る義務がある
- 2015年の最高裁判決では「合憲」と判断
- ただし、憲法13条・14条との関係性は今後も議論の余地あり
- 法改正は政治判断に委ねられているが、社会の価値観の変化が鍵を握る
夫婦別姓は、単なる“名前”の話ではなく、私たちの人権と自由、そして家族の未来をどう描くかという、非常に本質的なテーマです。