「夢の中で、“これは夢だ”って気づいたことある?」
もしそのまま夢の中で空を飛んだり、行きたい場所へ自由に動けたとしたら…
それが、**明晰夢(めいせきむ)**と呼ばれる夢の体験です。
この記事では、夢を意識的に“操作する”不思議な現象=明晰夢について、科学的な仕組みやトレーニング方法をわかりやすく解説します。
「夢を覚えておく方法」や「レム睡眠との関係」など、これまでの関連記事ともリンクしながら紹介していきます。
明晰夢ってなに?
明晰夢とは、夢の中で「これは夢だ」と気づいている状態のこと。
夢だと気づくことで、夢の内容を一部コントロールできるようになることもあります。
よくある明晰夢の体験例
- 空を飛んでいる途中で「これ夢だ!」と自覚
- 追いかけられていても「夢だから逃げなくていい」と判断
- 好きな場面を呼び出すことができる
脳の中では何が起きているの?

明晰夢はレム睡眠中に発生することが多く、通常の夢と違って脳の“理性”を司る前頭前野が部分的に活動していることがわかっています。
- 通常の夢:感情・記憶が活発、理性は抑制
- 明晰夢:感情・記憶に加え、“気づき”の働きが回復
つまり、夢の中で「これは夢」と判断する自己認識能力が発動するのです。
このしくみは「レム睡眠と夢の関係」にもつながります。
明晰夢は練習で見られるの?
実は、明晰夢を見る確率を上げる方法がいくつか研究されています。
明晰夢のトレーニング方法(代表的なもの)
方法 | 内容 |
---|---|
夢日記 | 起きた直後に夢を書き留める(記憶を強化) |
現実確認(Reality Check) | 日中に「今、夢じゃない?」と定期的に自問する癖をつける |
MILD法(Mnemonic Induction of Lucid Dreams) | 眠る前に「次の夢で気づく」と繰り返し念じる |
WBTB法(Wake Back To Bed) | 一度早朝に起きて、再度眠ることでレム睡眠を強める |
個人差はありますが、努力次第で体験できる人が多いことも研究で示されています。
明晰夢のメリットと注意点
メリット
- 夢の世界を自由に体験できる
- 創造性や問題解決力が高まるという報告も
- 恐怖夢を“やりなおす”ことで不安の軽減になる場合がある
注意点
- 睡眠の質が下がる人もいる(眠りが浅くなりやすいため)
- 小さな子どもに過度な明晰夢トレーニングはおすすめされない
- 「現実との境界」が曖昧にならないように、大人のフォローが重要
子どもと話すときに気をつけたいこと
明晰夢の話は子どもにとってとてもワクワクしますが、現実との区別がつきにくい年齢の場合は「遊びとして楽しむ」程度にとどめるのが理想です。
- 夢で好きなことができるのは楽しいね!
- でも、現実と夢はちがうからね
- 怖い夢も、夢だって気づけたらちょっと安心できるよ
親子トークタイム!子どもにこう話してみよう
「夢の中で『あれ?これ夢かな?』って思ったことある?それが“明晰夢”っていうんだよ。もし夢だってわかれば、怖いことがあっても逃げなくていいし、空を飛ぶことだってできちゃう!でも、あくまで夢の中のお話だから、現実とちゃんとわけて考えようね。」
まとめ
- 明晰夢とは、夢の中で「これは夢だ」と自覚している状態のこと
- 脳の“理性”の働きが一時的に戻っている
- 訓練すれば体験できる人も多く、創造性の向上などの可能性もある
- 子どもと話すときは、現実との区別を大切に伝えることがポイント
夢を“観るだけ”から“体験する”へ――。
明晰夢は、私たちの脳が秘めた可能性を感じさせてくれる現象なのです。