「ハンマーで叩いても壊れない」「銃弾でも割れない」と言われるガラス、オランダの涙。
一方で、細い尻尾をちょっと壊すだけで一瞬で爆発するように粉々に砕ける──そんな驚異的な性質をもつこの不思議なガラス片は、実際にさまざまな方法で破壊実験が行われています。
本記事では、オランダの涙がどれほど強く、どのように壊れるのかを映像や実験とともに科学的に解説します。
オランダの涙がどれだけ「壊れにくい」かを試す実験
まずは、オランダの涙の強度を実証するための定番実験から見ていきましょう。
ハンマーで叩いても壊れない

実験で最もよく見られるのが、金属ハンマーによる打撃試験です。
- 丸い部分を数回強く叩いても全く割れない
- 金属バットやペンチでも破壊不能なケースも
これは、表面にかかる圧縮応力によってヒビの進行が防がれているためです。
つまり「見た目以上に硬い」のではなく、「割れにくい構造」になっているということです。
▶ 関連記事:オランダの涙はなぜ割れない?尻尾が鍵を握る科学メカニズム
銃弾 vs オランダの涙:耐えるか、砕けるか?
一部の動画では、エアライフルや拳銃で丸い部分を撃つという実験も行われています。
結果は…なんと弾丸が弾かれてオランダの涙が割れないというケースも報告されています。
もちろん条件によっては割れることもありますが、銃弾の衝撃をある程度耐えられるガラスは、非常に珍しい存在です。
これは圧縮応力が一時的に衝撃を吸収し、ヒビが進行する前に跳ね返すためと考えられます。
オランダの涙が「一瞬で砕ける」瞬間をとらえた実験
次に、尻尾にわずかでも力が加わると、どのように割れていくのかを見てみましょう。
尻尾をピンセットで折るだけで爆発!
よくある破壊実験の方法は以下の通り:
- ピンセットやニッパーで尻尾を挟む
- わずかに圧をかけて切断
- 0.01秒以下で全体が粉砕!
まるで爆発のようにガラス片が四方に飛び散ります。秒速2000〜4000mの破壊速度は、人の目では追えません。
この様子は多くのハイスピードカメラで撮影され、動画サイトで数多く見ることができます。
スローモーションで見る「爆発の瞬間」
ハイスピード撮影で見ると、破壊は一本の線のように波のように進行していきます。
これは尻尾から始まった破断面が、残留応力の開放によって連鎖的に拡大していくからです。
波がしずくの先端に達した瞬間、すべてがミクロの破片となって崩れ落ちます。
▶ 関連記事:オランダの涙の作り方とは?安全な自作方法と注意点を解説
液体窒素・油圧プレス vs オランダの涙
さらに実験は過激に:
- 液体窒素に浸して超低温にしてから破壊
- 応力構造が壊れ、通常よりも派手に粉砕される
- 油圧プレスで強引に押しつぶす
- 尻尾に触れなければ割れないが、触れた瞬間に粉々に
- 振動試験・遠心試験なども行われている
実験のテーマは「どこまで耐えるか?」「壊れる条件は?」という科学的関心に加え、映像的な面白さも人気の理由です。
オランダの涙 vs ダイヤモンド?
「ダイヤモンドとどっちが強いの?」という質問も多いですが、
答えはこうです:
- ダイヤモンド: 素材そのものが非常に硬い(モース硬度10)
- オランダの涙: ガラスとしては普通だが、構造によって非常に壊れにくい
つまり、オランダの涙は「構造的強度」で耐えているのであり、素材としてはダイヤモンドには敵いません。
しかし、「割れにくさ」という点では、ダイヤモンドよりも特殊な面白さを持っていると言えるでしょう。
親子トークタイム!子どもに伝える方法
「ガラスなのに銃弾で割れない?」「でもしっぽを切ると爆発?」
そんな話は、子どもたちにとって最高にワクワクする科学の入口です。
家庭では動画を使って、安全に観察と学習ができます。
子どもにこう話してみよう!
「このガラスのしずく、ハンマーでも割れないくらい強いんだよ。
でも、しっぽをちょっと切るだけで…パリンッ!って爆発みたいにこわれるんだって!
実際に試すのは危ないけど、スローモーションの動画を一緒に見てみよう。
どうしてそうなるのか、理由も一緒に考えてみようか!」
動画を観察したあとに、「どうして?」を一緒に調べることで、科学リテラシーを育むことができます。
まとめ
- オランダの涙の丸い部分は、ハンマーや銃弾にも耐えるほどの強度を持つ
- 尻尾をわずかに壊すと、一瞬で全体が砕ける“応力の爆発”が起こる
- ハイスピード撮影や実験動画で、その現象を安全に観察できる
- 科学的関心とエンタメ性を兼ね備えた、理想的な実験教材
- 親子で動画を見て「なぜ割れるのか」「なぜ割れないのか」を考えることで、物理の面白さを体感できる