モアイ像といえば、顔のアップのイメージが有名です。
目や鼻、表情のない大きな顔──そのインパクトは、誰の記憶にも残るものです。
でも、実はモアイ像は“顔だけ”ではありません。
その下には胴体も、手も、時には腰や足の一部まで埋まっているのです。
この記事では、モアイ像の本当の姿について、考古学的な調査と文化的背景からやさしく解説します。
モアイ像は「顔だけの像」じゃない?
よくある誤解のひとつに、「モアイ像は胸から上だけの像」「顔だけがつくられている」というイメージがあります。
でも実際には、モアイ像の多くは全身像で作られていて、地中に胴体や手が埋まっていることがわかっています。
その証拠となったのが、近年の発掘調査による“モアイ像の全身写真”の公開です。

どうして下半身は見えないの?
モアイ像の下半身が埋まっている理由は、いくつかの要因が重なっています。
- 風や雨による土砂の堆積
長い年月をかけて、像の周囲に土が積もっていった - 意図的な埋め戻し
一部の像では、祭祀や儀式の理由で土をかぶせたとも言われている - 構造安定のため
風が強いイースター島では、地中に深く埋めることで倒れにくくする工夫があったと考えられている
つまり、「上だけしか作られていない」のではなく、埋まって見えなくなっているだけなのです。
実際の発掘で見つかった下半身とは?
2010年代に行われた発掘プロジェクトでは、土を掘り下げてモアイ像の全体を調査しました。
すると、胴体・手・腰の装飾・彫刻模様など、上からは見えなかった構造が次々と発見されました。
中には、腰のあたりに縄のような模様が彫られている像もあり、「この像は本当に人をかたどったものなのだ」と再認識されています。
このような発掘の様子を再現したのが、以下の画像です。

なぜこんな誤解が広まったのか?
モアイ像の多くは、首から上までしか地表に見えていません。
そのため、テレビや写真で見慣れている人々が「顔だけ」と思い込んでしまうのも無理はありません。
また、観光写真や記念品(置物・チョコ・ガチャガチャ)も顔部分が強調されがちで、本来の姿があまり知られてこなかったことも要因です。
しかし、本当のモアイ像の姿を知ると、その精巧さと信仰の深さがより強く伝わってきます。
どこまでが“モアイ像の本体”なのか?
現在確認されている最も深いモアイ像では、地中に埋まっている部分の長さが4メートル近くに及ぶこともあります。
平均的なモアイ像の構造:
- 地表に出ている:顔〜胸(約3〜4メートル)
- 地中に埋まっている:胴体〜腰や足の一部(+3〜4メートル)
つまり、**実際のモアイ像は高さ6〜8メートル超の“全身像”**なのです。
これは、運び方や建て方に関する理解とも深く関わっています。
詳しくは、こちらの記事も参考にしてください。
▶︎ モアイ像はどうやって運ばれた?“歩いた石像”の謎に迫る
親子トークタイム!子どもにどう伝える?
「モアイ像って、顔だけじゃなくて、じつは体もあったんだって!」という一言から、子どもたちはぐっと引き込まれます。
こんなふうに話してみましょう。
「モアイ像の顔しか見えないのは、実は“土に埋まってる”からなんだよ」
「下を掘ったら、ちゃんと体や手があって、腰には飾りまでついてた像もあるんだって」
「昔の人たちは、像を村の守り神のように建ててたから、ちゃんと人の形をしてたんだろうね」
そして、こんな問いかけもおすすめです。
「見えてないところって、どんなふうになってると思う?」
「地面の下に何があるかって、ちょっとワクワクしない?」
“見えない部分にも意味がある”という気づきは、モアイ像を通して育める大切な価値観です。
まとめ
モアイ像は、私たちが思っているよりもずっと大きく、深い存在です。
目に見えているのは、ほんの一部。
地中に胴体や手が埋まっている全身像だったという事実は、モアイ像をより立体的に理解させてくれます。
この発見は、モアイ像がどんな意味を持ち、どんな信仰とともに立てられてきたのかを、あらためて考えるきっかけにもなるでしょう。
モアイ像の意味については、こちらの記事で解説しています。
▶︎ なぜモアイ像は作られたのか?その意味と目的をわかりやすく解説
また、モアイ像がどこにあるのか、場所や文化について知りたい方はこちらもおすすめです。
▶︎ モアイ像はどこにあるの?地球のはしっこ“イースター島”の秘密