北欧の夏に見られる「白夜」は、太陽が沈まない幻想的な夜。
一方で、冬には「極夜(きょくや)」という、太陽が一日中昇らない暗い時間が続く期間も存在します。
このふたつの現象は、どちらも地球の傾きと太陽の関係がつくり出す自然のリズムによって生まれるものです。
この記事では、白夜と極夜のちがい、それぞれが起こる理由と場所、空の色や人の暮らしへの影響までをわかりやすく整理していきます。
白夜とは?
白夜(びゃくや)は、太陽が沈まず、一日中明るさが続く現象です。
主に北極圏(北緯66.6度以北)や南極圏(南緯66.6度以南)で、夏に発生します。
たとえば北半球では、夏至(6月下旬)を中心に、ノルウェーやフィンランドの北部、北極点などで白夜が見られます。
空は日没のような光が続き、夜になっても明るい時間が終わりません。
極夜とは?
極夜(きょくや)は、太陽が一日中昇らず、完全な“夜”が続く現象です。
白夜とは反対に、極地での冬の時期に起こります。
北極圏では冬至(12月下旬)を中心に、北緯66.6度より北の地域で極夜が発生し、
南極圏では南半球の冬(6月前後)に南緯66.6度以南で起こります。
極夜の空は、日の出がないために真っ暗な時間が長く続きますが、
地域によっては「薄明(はくめい)」と呼ばれる、青くぼんやりとした光が広がる時間もあります。
なぜ白夜と極夜が起こるのか?
その理由は、地球の自転軸の傾き(約23.4度)と公転のしくみにあります。
地球は太陽のまわりを1年かけてまわっています(公転)。
このとき、地球の軸がまっすぐではなく傾いているため、季節と昼夜の長さに差が生まれます。
- 北半球が太陽に傾いているとき → 北極圏で白夜(夏)・南極圏で極夜(冬)
- 南半球が太陽に傾いているとき → 南極圏で白夜(夏)・北極圏で極夜(冬)
つまり、白夜と極夜は同時に地球の反対側で起こっている、完全な「ペアの現象」なのです。
白夜と極夜の比較まとめ
項目 | 白夜 | 極夜 |
---|---|---|
太陽 | 沈まない | 昇らない |
見られる時期 | 夏(夏至を中心) | 冬(冬至を中心) |
地域 | 北極圏・南極圏 | 北極圏・南極圏 |
空の色 | 明るく、夕方のような色が続く | 黒に近い暗さ。薄明時間がある地域も |
生活への影響 | 眠れない・生活リズムの乱れ | 気分の落ち込み・体内時計の混乱 |
どちらも“地球のかたむき”がつくり出す現象であり、
太陽の存在感が強調される白夜と、その不在によって闇が支配する極夜は、まさに陰と陽のような対比でもあります。
空の変化と心の影響
白夜の空は、夜でも明るいため不思議な落ち着かなさを感じることがあります。
一方、極夜は光がないことによって、体内リズムが狂いやすく、気分が沈みがちになる人もいます。
北欧などでは、
- 白夜対策:遮光カーテン、睡眠時間の管理、活動時間の調整
- 極夜対策:光を使った目覚まし時計、暖色系の照明、積極的な屋内活動
といった、光とのつきあい方に工夫を重ねながら暮らしています。
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【おやこトークタイム!】昼も夜も太陽って、どういうこと?
白夜と極夜の話をすると、「夜なのに明るい?」「昼なのに暗い?」と、子どもは混乱するかもしれません。
そんなときは、太陽の光がどこに届いているかを地球儀で見せながら、こう伝えてみてください。
「地球が少しかたむいてるから、太陽の光がずっと当たる場所も、まったく当たらない場所もあるんだよ」
「夏の北極では、太陽が地平線のすぐ上をくるくるまわるみたいに動く。逆に冬には、太陽が全然出てこない日もあるの」
地球の動きが見えると、目の前の空だけでなく、“地球全体の昼と夜”のリズムが見えてきます。
まとめ
白夜と極夜は、地球が傾いているからこそ生まれる、自然の壮大なリズムの表れです。
・白夜=太陽が沈まない現象。夏に北極圏・南極圏で発生
・極夜=太陽が昇らない現象。冬に反対の地域で発生
・どちらも地球の傾きと太陽の位置の関係で起きる
・暮らしや気持ちにも影響を与える、自然と人の関係の一例
・太陽の存在の大きさを、あらためて感じさせてくれる現象
昼と夜のあいだには、私たちの見ている以上に深い意味が隠れているのかもしれません。