「iPS細胞ってすごいらしいけど、どうやって作ってるの?」
そんな素朴な疑問を持つ人は多いはずです。
この記事では、「iPS細胞 作り方」「iPS細胞 クローン 作り方」といった検索ニーズに応えながら、皮膚細胞などからiPS細胞を作るまでの仕組みを、図を使わず、ことばだけでやさしく解説します。
細胞を“初期状態”に戻す「リプログラミング」とは何か。
そして、クローンとの違いについても整理しながら、再生医療の最前線を親子で学べる内容にまとめました。
iPS細胞はもともと皮膚や血液の細胞だった
iPS細胞は、私たちの体にある皮膚や血液の細胞を使って作られます。
それまで普通に働いていた細胞を、ある技術によって「万能な状態」に戻すことで、再びいろいろな細胞へ変化させる力を持たせるのです。
この「戻す」ことを、専門的には**初期化(リプログラミング)**と呼びます。
まるでパソコンの設定をリセットするように、細胞のプログラムも最初の状態に戻すことができるのです。
どうやって初期化するの?カギになるのは4つの遺伝子
このリプログラミングには、特定の遺伝子を細胞に入れることが必要です。
2006年、山中伸弥教授のチームが発表したのは、たった4つの遺伝子を使って、マウスの皮膚細胞を初期化する方法でした。
この4つの遺伝子は次の通りです:
- Oct3/4
- Sox2
- Klf4
- c-Myc
これらの遺伝子をウイルスなどの運び役(ベクター)を使って細胞の中に入れると、細胞の働きが変わっていき、やがて「iPS細胞」へと変化していきます。
これは、細胞の中で「スイッチを入れる」ようなイメージです。スイッチが入ると、細胞が「私は皮膚細胞だ」という情報をリセットし、「これから何にでもなれるぞ」という初期状態に戻るのです。
iPS細胞ができるまでのステップ(ことばで解説)
iPS細胞の作成は、おおまかに以下のようなステップで行われます。
- 体の細胞を取り出す
皮膚や血液などから細胞を採取します。 - 遺伝子を導入する
先ほどの4つの遺伝子を、ウイルスベクターなどを使って細胞に入れます。 - 細胞の状態が変化するのを待つ
細胞は少しずつ変化し、「リプログラミング」されていきます。 - iPS細胞の性質を持った細胞を選ぶ
うまく変化した細胞を選び、培養します。これで、さまざまな細胞に変化できるiPS細胞が完成です。
このように、元の細胞の“スイッチ”を切り替えることで、再び多様な細胞になれる「万能細胞」を作ることができるのです。
クローンとiPS細胞のちがいは?
「クローン技術と同じなの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
クローンは、「まったく同じ遺伝情報を持つ個体をつくる技術」で、代表的なのが羊のドリーです。
一方、iPS細胞は新しい個体をつくるのではなく、「いろんな細胞を作れる能力を持った状態に戻す」ための技術です。
つまり、目的も技術も全く異なります。
iPS細胞は治療や研究に使うための“素材”であって、コピー人間を作るわけではありません。
【おやこトークタイム!】子どもに伝える方法
細胞の「スイッチの切り替え」という考え方は、子どもにとってもイメージしやすい表現です。
また、クローンとiPS細胞の違いを「コピー機とブロックおもちゃの違い」で例えると、理解が深まります。
子どもにこう話してみよう
細胞って、いろんな「お仕事」が決まってるんだけど、その仕事をいったんやめてもらって、「なんでもできる状態」に戻すのがiPS細胞なんだよ。
これは、ブロックでおうちを作ったあとに、ぜんぶバラバラにして、また別の形に組み立てられるようにするのと同じ。
そうやって作られた細胞は、心臓になったり、目になったり、将来の医療に役立つんだよ。
まとめ
- iPS細胞は、皮膚や血液の細胞に特別な遺伝子を入れて「初期化」することで作られる
- 4つの遺伝子が細胞のスイッチを切り替え、多能性幹細胞に変える
- 作成ステップは「細胞採取 → 遺伝子導入 → 変化 → iPS細胞選別」
- クローン技術とは違い、新しい個体ではなく「新しい細胞の材料」を作るための技術
iPS細胞の作り方は、未来の医療を変える第一歩。
「どう作られているのか」を知ることは、「どんな使い方ができるのか」を理解するうえでとても大切です。
親子でそのプロセスを学びながら、科学の面白さと人間の知恵のすごさを感じてみましょう。