なぜトランプ大統領は「教育省をなくす」と言い出したのか?アメリカ教育の根本的転換に迫る

なぜトランプ大統領は「教育省をなくす」と言い出したのか?アメリカ教育の根本的転換に迫る

2025年3月、アメリカで再び物議を醸すニュースが飛び込んできました。ドナルド・トランプ大統領が、連邦政府の教育省を「廃止する」ことを目指す大統領令に署名したのです。

「えっ、教育省ってなくなるの?」「それって教育どうなるの?」と思った方も多いはず。この記事では、アメリカにおける教育省の役割、廃止の狙い、今後の影響までをわかりやすく解説します。親子で一緒に「教育って誰のもの?」を考えるきっかけにもなる内容です。

教育省ってなにをしているところ?

アメリカの教育省(Department of Education)は1979年に設立され、連邦政府の機関として全国の教育政策を調整・支援してきました。

主な役割には以下のようなものがあります:

  • 教育機会の均等化
  • 小中高・大学への補助金の分配
  • 学生ローン制度の運営
  • 特別支援教育や障害児支援の資金提供
  • 教育データの収集と評価

ただし、アメリカではもともと教育の権限は連邦制のもと各州にあるとされており、教育省は「支援と調整」がメイン。直接的に学校の内容や教師の採用に関わることは基本的にありません。

トランプ大統領の主張:「金はかけてる。でも成果は出ていない」

トランプ大統領は、大統領令の署名にあたりこう発言しました:

「アメリカは生徒1人当たりの教育費で他のどの国よりも多くの金を使っている。それなのに、学力は最下位に近い」

ここで指摘されているのは、費用対効果の悪さです。OECDの学習到達度調査(PISA)など国際比較を見ると、アメリカの学生は読解力数学的リテラシーで他国に後れを取っていることがわかります。

トランプ氏はこの現状を「教育省の中央集権的な仕組みのせいだ」と批判。解決策として「教育の権限を州に戻す」ことを掲げ、教育省の廃止を打ち出しました。

教育省はすぐになくなるの?

実は、大統領が「今日から教育省を廃止!」と命じても、すぐには実現できません。というのも、教育省の設置は連邦議会が立法によって決めたことだからです。

つまり、教育省を完全に解体するには議会の法改正が必要。これは与党・野党の協力が必要なプロセスであり、政治的には簡単ではありません。

今回の大統領令は、「すぐに廃止」ではなく、段階的に機能を縮小し、別の機関に移したり、州政府に移管したりする準備を進めることを意味します。

どんな影響があるのか?支援の行方と懸念

最も注目されているのは、教育省が担ってきた資金面での支援です。

特に以下のようなプログラムは、教育の格差是正に重要な役割を果たしてきました。

  • 障害児教育のための補助金
  • 低所得家庭の子どもへの奨学金
  • 学生ローン制度

トランプ大統領は、「これらの支援はなくさない。別の機関に移して続ける」としていますが、具体的な移管先や財源の確保についてはまだ明確になっていません。

そのため、障害を持つ子どもたちや家庭の経済的負担が増すのではないかといった懸念の声も上がっています。

親子トークタイム!子供に伝える方法

この話題は難しそうに見えるかもしれませんが、「教育って何のためにあるの?」という根本を考える絶好の機会でもあります。学校で習っていること、先生との関係、学ぶことの意味を、家庭で話し合うきっかけにしてみましょう。

子供にこう話してみよう!

「アメリカのえらい人たちは、国がみんなに同じ教育を届ける“教育省”っていうところをなくそうとしてるんだ。どうしてかというと、『たくさんお金を使っても、勉強の成績がよくならない』って思ってるからなんだって。でも、困っている子を助けたり、お金が足りない家庭を応援したりする仕組みも、いっしょになくなっちゃうかもしれないんだ。

教育って、誰のためにあると思う? どうすれば、もっといい勉強ができると思う?」

まとめ

アメリカで始まった教育省廃止の動きは、単なる「組織の見直し」ではなく、「教育は国がやるべきか?それとも州がやるべきか?」という深い問いに根ざしています。

トランプ大統領の狙いは、中央から地方へ教育の主導権を移すことですが、その過程では多くの制度や支援が影響を受ける可能性があります。

教育の質を高めるために“何をなくすか”だけでなく、“何を守るか”も同時に考えなければなりません。これはアメリカに限らず、日本を含めたすべての国にとっても、教育のあり方を見直すヒントになるかもしれません。

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