毎月の給料から天引きされる社会保険料。これは何のために払っているのか、どれくらい負担しているのかを正確に理解している人は少ないかもしれません。しかし、よく考えてみると、1年間の支払い総額は最新のiPhoneを毎年買えるほどの金額になっていることもあります。
「日本の社会保険料は高い」と感じることがあるかもしれませんが、それは事実でしょうか? 他の国と比べた場合、日本の負担はどのような位置にあるのでしょうか?
また、社会保険料はどのような目的で使われているのか、そして家計の負担を減らす方法はあるのかを、子どもにもわかるように説明しながら考えてみましょう。
日本の社会保険料の仕組み
社会保険料は、病気やケガをしたとき、高齢になったとき、失業したときなど、生活に困ったときに支え合うための仕組みです。日本では、社会保険料がどのように構成されているのかを知ることで、その役割や負担を理解しやすくなります。
社会保険料の内訳と仕組み
日本の社会保険料は、大きく以下の5つの要素に分かれています。
- 健康保険(病気やケガの治療費を一部カバーする)
- 厚生年金保険(高齢者になったときの生活を支える年金)
- 介護保険(高齢者の介護サービス費用を補助)
- 雇用保険(失業したときの生活を支える)
- 労災保険(仕事中のケガや病気の補償)
給与明細を見ると、これらの保険料が差し引かれています。合計すると、手取りの約25%~30%に相当する金額が引かれていることになります。
例えば、毎月の収入が30万円の場合、約7.5万~9万円が社会保険料として差し引かれる計算になります。
日本の社会保険料は世界と比べて高いのか?
日本の社会保険料は、世界と比べてどの程度の負担なのでしょうか。
世界の社会保険料負担率
国名 | 社会保険料の負担割合(給与に対する割合) |
---|---|
日本 | 25%~30% |
アメリカ | 10%~15% |
ドイツ | 20%~25% |
フランス | 15%~20% |
デンマーク | 8%~12% |
ブルガリア | 34%~40% |
日本の社会保険料の負担は、先進国の中でも比較的高い部類に入ります。一方、アメリカは社会保険料の負担が低いですが、その代わりに医療保険や年金の多くを個人でカバーする必要があり、実質的な負担は増えるケースが多いです。
世界で最も高い国・安い国
世界で最も社会保険料の負担が高い国のひとつはブルガリアで、最大約40%が天引きされます。これは、公的年金制度の維持や医療制度を国家が強く管理しているためです。
逆に、デンマークの社会保険料は約8%と低いですが、その代わりに消費税が25%と非常に高く、税金によって社会保障を支える仕組みになっています。
【おやこトークタイム!】日本の社会保険料って本当に高いの?
社会保険料が毎月お給料から引かれるのを見て、「こんなに払ってるの?」と思うことはありませんか? 大人でも実感がないことが多いこのお金、子どもにもわかるように説明できるでしょうか?
社会保険料がどういう仕組みなのかを、子どもにも伝えられるように、わかりやすく話してみましょう。
子どもにこう話してみよう!
「お友達とお菓子を持ち寄って交換すると、みんながいろんな味を楽しめるよね。でも、誰かが何も持ってこられなかったとき、みんなが少しずつ分ければ、その子も困らずにすむ。
社会保険料も同じで、みんなが少しずつお金を出し合うことで、病気になった人やお年寄りが困らないように助ける仕組みなんだよ。」
社会保険料の負担を減らす方法
社会保険料そのものを減らすことは難しいですが、実質的な負担を軽くする方法はいくつかあります。
給与体系を見直す
企業によっては、給与の一部を「手当」として支給することで、社会保険料の計算対象となる給与額を抑える工夫をしている場合があります。住宅手当や通勤手当を活用することで、手取りを増やすことが可能です。
iDeCo(確定拠出年金)を活用
iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用すると、掛け金の全額が所得控除の対象となり、課税所得が減ることで社会保険料や税金の負担を抑えることができます。
ふるさと納税を活用する
ふるさと納税を利用すると、所得税や住民税の控除を受けられ、返礼品として食料品や日用品を受け取ることができます。特に、日常的に使用するものを選べば、実質的な節約効果が期待できます。
さらに学ぶためのおすすめ書籍
大人向け書籍
- 『社会保障の経済学[第4版]』 – 小塩 隆士
- 『経済学で考える社会保障制度〈第2版〉』 – 安岡 匡也
子供向け書籍
- 『親子で学ぶ お金と経済の図鑑』
- 『マンガでわかる!10才までに覚えたい社会のしくみ』
- 『図解 はじめて学ぶ みんなのお金』