地球上で最も孤立した海域「ポイントネモ」は、実は宇宙とも密接な関係を持っていることをご存じでしょうか?
国際宇宙ステーション(ISS)や人工衛星が寿命を迎えたあと、安全に地球へ帰すために目指す場所。それが、なんとこの誰もいない海のど真ん中、ポイントネモなのです。
なぜこの場所なのか?
本当に「宇宙ゴミの墓場」なのか?
そして、この仕組みは安全なのか?
今回は、宇宙と深海を結ぶこの“静かな落下点”の謎を、やさしく・楽しく・深く解き明かします。
ポイントネモとは何か?行けない・行った人がいない「地球で最も孤立した場所」
なぜ宇宙からの落下物はポイントネモを目指すのか?
地球を周回する人工衛星や宇宙ステーションは、やがて寿命を迎えます。するとそれらは、制御された再突入を行い、大気圏で燃え尽きながら地球へ戻ってきます。
その際に「どこに落とすか」を決めるのが重要です。落下物が人の住む地域に落ちると危険だからです。
このとき利用されるのが、周囲に人がまったくいない“落下しても問題のない安全地帯”=ポイントネモなのです。
実際に何が落ちている?──人工衛星の“墓場”

ポイントネモは、1990年代から「宇宙機の墓場」として利用されてきました。
以下のような機体がこの海域に沈んでいます:
- ロシアの宇宙ステーション「ミール」(2001年)
- 欧州の貨物補給機「ATVシリーズ」
- NASAや中国の衛星・ロケットの破片
- 小型衛星やデブリの一部
合計で250以上の宇宙機がこのエリアに落下したとされています。
このように、ポイントネモは“地球の宇宙ゴミ箱”として長年活躍しているのです。
宇宙ステーションISSもここに沈むの?
現在、ISS(国際宇宙ステーション)は2030年頃を目安に運用を終了するとされています。
その後、大気圏で分解され、残った一部はポイントネモへと誘導される計画があります。
ISSは非常に大きいため、完全に燃え尽きることはなく、一部のパーツが落下する可能性があるからです。
そこで人のいない場所=ポイントネモを“安全な終着点”として選んでいるのです。
宇宙ゴミは環境に影響しないの?

気になるのが「海に落ちた宇宙ゴミって大丈夫なの?」という疑問です。
結論から言えば、多くの機体は再突入時に大気中で焼失し、ごくわずかなパーツだけが海に到達します。また、落下地点が数千メートルの深海であり、回収や人の活動が届く範囲ではありません。
とはいえ、長期的な影響や重金属汚染の可能性は完全には無視できないため、各国は環境への配慮を含めた処理方法を模索中です。
ポイントネモが宇宙ごみの最終処分場であり続けるべきか、議論は続いています。
宇宙と海がつながる場所、それが“ネモ”
「ネモ」とは、ラテン語で「誰でもない者」。
ジュール・ヴェルヌの小説『海底二万里』に登場する“ネモ船長”にちなんで名づけられたこの場所は、本当に誰にも知られず、使われ、役目を果たしています。
人間の文明が宇宙を使い、その終わりを海に委ねる──この壮大な循環の一端が、私たちの知らぬうちに海の底で静かに繰り返されているのです。
親子トークタイム!子どもに伝える方法
ねぇねぇ、宇宙から帰ってきたロケットや人工衛星って、どこに落ちると思う?
じつはね、地球で一番まわりに人がいない“ひみつの海”があって、そこを目がけて落とすんだよ!その名前が「ポイントネモ」。
そこには、昔の宇宙ステーションやロケットのかけらが、静かに眠ってるんだって。
なんだか、宇宙と地球がそっと手をつないでるみたいで、すごいよね!
まとめ
- ポイントネモは、地球で最も孤立した海域であり、宇宙機の落下目標地点として選ばれている
- 人工衛星、ロケット、宇宙ステーションの一部が大気圏を経て、この海域に落ちている
- ISSも将来的にはこのエリアに誘導落下される予定
- 宇宙ゴミの環境影響には今後も注意が必要
- 人類の宇宙活動と地球の“終着点”がつながる場所として、ネモの名は現代にも息づいている