オランダの涙(Prince Rupert’s Drop)は、不思議な性質を持ったしずく型のガラス片。
頭はハンマーで叩いても割れないのに、尻尾にわずかでも傷がつくと一瞬で粉々に砕ける――そんな現象を自宅でも再現できたら、ワクワクしませんか?
この記事では、オランダの涙を安全に自作する方法と注意点を、科学的な視点も交えてわかりやすく解説します。
自宅でオランダの涙を作ることはできる?
結論から言うと、ある程度の設備と安全対策があれば自作可能です。
しかし、温度・材料・冷却スピードなど複数の条件が揃わないと成功率は低く、失敗すると非常に危険です。
自作にチャレンジする場合は、以下のような知識と環境が必要です:
- 耐熱ガラスの扱いに慣れていること
- 火を使って高温に加熱できる装置があること(例:バーナーや炉)
- 安全に冷却する水槽を用意できること
- 破裂の危険を認識し、適切な保護具を装備していること
オランダの涙の基本的な作り方
ここでは実験環境が整っている場合の作成手順を紹介します。
材料・道具
- ホウケイ酸ガラス棒(理化学実験用)または廃ガラス瓶(厚めのもの)
- ガスバーナー(1000℃以上に加熱可能なもの)
- 耐熱手袋、ゴーグル、防炎エプロン
- 水を入れた金属製の深い容器(バケツや金属ボウル)
- 火ばさみ、トング
作り方の手順
- ガラスを加熱する
ガスバーナーでガラス棒の先端を赤くなるまでしっかり加熱します(最低1000℃以上)。
しずく状に垂れるくらいの粘性が出るまで加熱するのがコツです。 - 冷水に垂らす
加熱したガラスを火ばさみなどでつかみ、すばやく冷水に垂らします。
この瞬間にガラスの表面が急冷され、内部との温度差で「残留応力」が生じます。 - 完全に冷えるまで待つ
水中でしばらく静置しておき、ガラスが十分に冷えるのを待ちます。
このとき急に取り出すと、割れたり形が崩れたりすることがあります。 - 慎重に取り出し、検査
できあがったしずくを慎重に取り出し、しっぽの有無、ひび割れの有無を確認します。
▶ 関連記事:オランダの涙はなぜ割れない?尻尾が鍵を握る科学メカニズム
よくある失敗と注意点
オランダの涙の作成は意外と繊細で、ほんの少しの条件ミスで失敗することも珍しくありません。
失敗例①:割れずにただのガラス玉になる
→ 火力不足または冷却スピードが遅い。
→ 表面と内部に十分な温度差ができていないと、応力が残らず「涙」になりません。
失敗例②:形がいびつ、尻尾ができない
→ ガラスの加熱時間が短い、あるいは垂らすタイミングが早すぎる。
→ 尻尾が短すぎると、「割れる性質」が出にくくなります。
失敗例③:冷却中に破裂してしまう
→ ガラスが水に触れる際の衝撃が強すぎた、あるいは加熱しすぎた。
→ 破片が飛び散るため、ゴーグルと手袋は必須です!
安全のために必ず守るべきこと
- 作業中は必ず【ゴーグル+耐熱手袋+長袖長ズボン】を着用する
- 作業場所は屋外または換気の良い火気使用可能な場所で
- 子どもと行う場合は【必ず大人の監督と補助が必要】
- 破裂の危険性を常に想定し、ガラスが冷え切るまで決して素手で触らない
自作ではなく「動画で楽しむ」のも選択肢
「実験は危ないから無理…」という方でも、YouTubeには多くのオランダの涙の実験動画が公開されています。
実験映像を見るだけでも、その割れる瞬間の美しさと科学的インパクトは十分に伝わります。
教育的にも優れた教材です。
▶ 関連記事:オランダの涙とは?原理・強度・歴史・実験までまとめて解説!
親子トークタイム!子どもに伝える方法
「ガラスのしずくが爆発する?どうしてそんなことが起きるの?」
子どもにとっては驚きの現象でも、その裏にある“見えない力”を知ることで物理の面白さにふれられます。
子どもにこう話してみよう!
「ガラスをすごく熱くして、急に冷たい水に入れると、表面と中で冷えるスピードが違って、
中に“ギューッ”って力がたまるんだよ。
それがちゃんとたまってたら、特別なガラス『オランダの涙』ができるんだって。
作るのはちょっと難しいけど、動画で見てもすごく面白いから一緒に見てみよう!」
まとめ
- オランダの涙は自作可能だが、高温・急冷・応力の条件がそろう必要がある
- 材料はガラス棒とバーナー、水槽などが基本
- 失敗例や危険性も多いため、十分な安全対策と理解が必須
- 作らずとも、動画で観察するだけでも大きな学びになる
- 親子で“作れるかも”をきっかけに、物理の世界にふれる良い導入になる