地面の中にひそむ危険から、命を守るために活躍している“動物のヒーロー”がいます。
その名は、ロニン。
カンボジアで活動しているこのネズミは、世界記録を更新した地雷探知のプロフェッショナルです。
ネズミが命を救う?そんな不思議な話を、やさしく紹介します。
ロニンはどんなネズミ?

ロニンは「アフリカオニネズミ」という種類で、ふつうのネズミよりずっと大きく、体長は約68cm、体重は1.2kgほど。
猫くらいのサイズがあります。
生まれたのは、アフリカのタンザニア。
そこにある「APOPO(アポポ)」という団体の訓練施設で、爆薬のにおいをかぎ分ける特別なトレーニングを受けました。
ロニンは今、カンボジアで毎日地面の上を歩き、においで地雷や不発弾を見つける活動をしています。
世界記録の快挙!どれくらい見つけたの?
ロニンがカンボジアで活動を始めたのは、2021年8月。
そこから約3年半で、なんと地雷109発、不発弾15発を発見!
これは、ネズミによる発見数としてギネス世界記録を更新するすごい成果です。
彼のおかげで、たくさんの人が安心して土地を使えるようになり、命を守られているのです。
なぜネズミが地雷を見つけられるの?
ロニンのような探知ネズミには、いくつかの“すごい特長”があります。
- 鼻がとてもいい(爆薬のにおいをかぎ分けられる)
- 体が軽い(地雷の上を歩いても爆発しない)
- すばしっこい(広い範囲をすばやく調べられる)
- 集中力がある(訓練ですぐ覚える賢さを持つ)
これらを活かして、ロニンは人が入るには危険な場所でも、安全に地雷を探知することができます。
地雷って、そんなに多いの?
地雷は戦争や紛争のあとに地面に埋められ、長い間、そこに残り続ける兵器です。
一見ふつうの地面でも、踏んだら爆発してしまうことがあります。
現在も世界60カ国以上に、1億個以上の地雷が埋まっているとされています。
しかも、被害にあう人の約3割は子どもだと言われているのです。
ロニンのようなネズミは、地雷のある場所を安全に教えてくれる“命のナビゲーター”。
その活躍は、子どもたちの未来を守ることにもつながっています。
親子トークタイム!子どもに伝える方法
この話題は、「小さな命が大きな命を守っている」というメッセージを自然に伝えられます。
こんな問いかけから会話を始めてみましょう:
- 地雷って、どんなもの?なぜまだ残っているの?
- ロニンは、どうやって地雷を見つけてるの?
- 人間にはできないけど、ネズミにできることって何だろう?
- ロニンがいなかったら、どうなっていたかな?
命の重さ、助け合うこと、動物の知恵——いろんな気づきにつながります。
地球の問題を、親子で知る一歩に
カンボジアでは、1970年代の内戦や爆撃の影響で、地雷による死傷者が6万人以上にのぼっています。
ロニンのようなネズミが今も活躍しているのは、戦争が終わっても、危険が残るという現実があるからです。
でも同時に、それに立ち向かう人や動物がいる。
命を守るために力を合わせている姿が、今も続いているということでもあります。
「ヒーローラット」として応援することもできる
ロニンを育てたAPOPOでは、こうした探知ネズミたちを「ヒーローラット」と呼び、
一般の人がオンラインでネズミを“養子”として支援する仕組みをつくっています。
つまり、私たちも間接的に、命を守る活動に関わることができるのです。
APOPO公式サイト → https://apopo.org
まとめ:ネズミだって、命を守るヒーローになれる
ロニンの活躍は、「小さいからできること」「動物だからこそできること」の大切さを教えてくれます。
科学の知恵と、生き物の力が出会ったとき、
人の命を救う、新しいヒーローが生まれるのかもしれません。
本記事内で使用しているロニンの写真およびプロフィール情報は、
地雷探知ネズミの育成・支援活動を行う団体 APOPO の公式サイトより引用しています。
https://apopo.org/support-us/adopt/ronin/