地球の重力に慣れている私たちにとって、「重力が10倍、20倍ある星」と聞くと、なかなかピンとこないかもしれません。
けれど宇宙には、**地球の何十倍もの重力を持つ“超高密度な惑星”**が、実際に存在しています。
この記事では、そうした星にもし立ったとしたら、体にはどんなことが起きるのか、
どんなしくみでそんな重力が生まれるのかなどを、やさしく紹介します。
重力ってなに?もう一度整理してみよう
重力は、「ものを引っ張る力」のことです。地球では、地面に物が落ちたり、人が地に足をつけて歩けたりするのは、この重力があるからです。
重力の強さは、星の**“大きさ”と“重さ”**で決まります。
つまり、小さくてもとても重い星は、地球よりも強い重力を持つことがあるのです。
超高重力の惑星に立ったらどうなる?
たとえば、**TOI-849 b(トイ849ビー)**という星は、地球の約40倍の質量を持ち、体積は地球の3倍ほど。
この星の表面重力は、地球の約15倍と推定されています。
この星に立ったとすると……
- 体重は15倍に感じる(40kgの子なら600kgに)
- 立ち上がることができない
- 心臓が血液を送り出すのが困難になる
- 骨や筋肉にかかる負荷も15倍
- 自分の体に、自分が押しつぶされるような感覚になるかも…
もちろん、実際にはこうした星に立てる地面は存在しないことも多いですが、
この“もしも”を想像してみるだけで、重力のしくみがぐっと身近になります。
なぜそんなに重いの?

重力が強くなる理由は、大きく2つあります:
- 星の内部に密度の高い物質(鉄や岩石など)が多く含まれている
- 星が「ガスを持っていない」代わりに、中身だけがぎゅっと詰まっている
TOI-849 bなどの星は、もともとガスのある“木星のような星”だった可能性もあります。
けれど何らかの理由で外側のガスがなくなり、“核だけが残っている”状態になったのでは?とも考えられています。
このようにして、「小さくて重い=超高重力の星」が生まれることがあるのです。
親子トークタイム!子どもに伝える方法
「重力が何十倍もある星」の話は、想像力を広げるのにとてもぴったりなテーマです。
こんな話題につなげてみましょう:
- もし重力が10倍になったら、ジャンプはどれくらい小さくなる?
- 自転車はこげる?歩くのもつらい?
- 筋トレが必要なのは、どんな星だと思う?
地球の重力が「ちょうどよい強さ」であることにも、改めて気づくことができるかもしれません。
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宇宙には「限界ギリギリ」の星がいくつもある
- ガラスの雨が降る星
- 鉄の雨が降る星
- 星全体が水でできている星
- ダイヤモンドでできた星
そして、今回のように「重力が強すぎる星」など、宇宙は想像もできないような極端な星のオンパレードです。
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まとめ:重力の“ふつう”は、宇宙では特別なことかもしれない
地球では歩けて、ジャンプできて、ふつうに過ごせているけれど、
それは「重力がちょうどいいから」。
超高重力の惑星の話を通して、当たり前と思っていたことが、実は“とてもバランスのとれた奇跡”なんだということに気づけるかもしれません。
科学の知識は、こうした「なんで?」を出発点に、どこまでも広がっていきます。