古代ローマの人たちは、どんな服を着て、何を食べて、どんなふうにお風呂に入っていたのでしょうか?
ローマ帝国といえば戦争や皇帝などが注目されがちですが、そこに暮らしていた人々の「ふつうの生活」をのぞいてみると、思った以上に人間らしい工夫や文化が見えてきます。
この記事では、古代ローマの「日常」に焦点を当て、服装・食事・入浴という身近なテーマを通して、親子で楽しく学べる構成にしています。
布を巻いて着る?古代ローマの服装

古代ローマの代表的な衣服といえばトガです。
トガはローマ市民の男性が政治や式典で着る正装で、布を体に巻きつけるようにして身に着けました。動きにくく重いため、ふだん着ではなく特別な場面に使われました。
日常の服装は「トゥニカ」と呼ばれる、長めのシャツのような形の衣服です。トゥニカは男女問わず着られ、女性は「ストラ」と呼ばれるドレス型の服も身につけていました。
サンダルは足の甲を革ひもで結ぶ構造で、今のクロスサンダルのようなデザインでした。暑い気候に合った合理的な靴です。
服装は身分や立場によって色や装飾が異なり、上級市民は刺繍入り、奴隷は無地の布というように、見た目でわかる社会のルールが存在していました。
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食べ物は質素?贅沢?ローマ人の食卓
古代ローマの食事は、階級によってかなり異なっていました。
庶民の食事は主にパン、豆、野菜などの質素なもの。一方、貴族たちは「饗宴(バンケット)」と呼ばれる豪華な宴を開き、長時間食事を楽しんでいました。
宴会では寝そべりながら食事をとるスタイルが流行しており、召使いが料理を運ぶ形式でした。食べすぎて吐いてまた食べる、という話もありますが、それは一部の誇張とされ、実際にはマナーや社交性を重視したものでした。
代表的な食材
- 平らなパンやおかゆ
- キャベツ、豆類、レタスなどの野菜
- イチジクやブドウなどの果物
- 豚肉、魚介類(主に上流階級)
- 調味料として使われたガルム(魚の発酵液)
- ワインは水で割って飲むのが常識
宴会と娯楽の関係性、そして政治的な演出の一部としての「食」については
古代ローマの社会と政治|パンとサーカスと皇帝たちでも詳しく紹介します。
公衆浴場とトイレのしくみ

ローマ人はお風呂好きとしても知られており、各都市に「テルマエ」と呼ばれる公衆浴場がありました。
テルマエはただの風呂ではなく、運動・社交・リラクゼーションの場として機能していました。
入浴の流れ
- 着替えと準備(脱衣所)
- 運動場で軽く体を動かす
- 冷水浴(フリギダリウム)→ ぬる湯(テピダリウム)→ 熱湯(カルダリウム)
- オイルを体に塗って汚れをストリギルでこすり落とす
このような段階的な入浴は健康法としても人気で、情報交換や出会いの場にもなっていました。
また、水洗式トイレも発達しており、複数人が並んで座るスタイルの「公衆トイレ」もありました。トイレットペーパーはなく、水に浸したスポンジを使い回す仕組みでした。
古代ローマの上下水道や建築技術がどう街全体に影響を与えていたかについては
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親子トークタイム!子どもに伝える方法
「昔のローマ人は、寝転がってごはんを食べてたんだって」と話しかけてみましょう。
「えっ?トイレはみんなで使ってたの?」と、驚きながら笑ってくれるはずです。
ここから会話を広げて、
- 「でも、それが当時の普通だったんだよ」
- 「お風呂は毎日行ってたらしいよ」
- 「パンやワインは今も人気だよね」
と伝えると、昔のくらしが少しずつ「じぶんごと」になっていきます。
家にある布で「トガごっこ」をしたり、簡単な再現レシピを一緒に作ってみるのも楽しい学びになります。
まとめ
古代ローマの人たちは、現代とは違った道具やルールの中で生きていましたが、
おしゃれをしたり、おいしく食べたり、お風呂でリラックスしたりする「人間らしい生活」を大切にしていました。
違う時代のくらしを知ることは、「今のくらし」を見直すきっかけにもなります。