古代ローマといえば、コロッセオのような大きな建物や、まっすぐにのびた石の道路を思い浮かべる人も多いでしょう。
実はローマ帝国は、建物やインフラ(社会の基盤となる設備)において、現代にも通じる高度な技術を持っていました。
この記事では、道路や建物、水道、コンクリートなど、古代ローマの街を支えた技術をわかりやすく紹介します。
まっすぐで丈夫なローマの道路

ローマ帝国は「すべての道はローマに通ず」という言葉で有名なほど、道路建設に力を入れていました。
ローマ街道は、石を敷き詰めた舗装道路で、約8万km以上もの長さがあったとされています。これは地球を2周できる長さに相当します。
ローマの道路の特徴
- 地面を何層にも掘って、排水性と強度を確保
- 石畳をぴったり並べて平らに仕上げる
- 軍隊や馬車がスムーズに移動できる設計
- 道路の両脇には歩道やマイル標(距離標識)も
軍の移動や物資の運搬、市場や郵便のネットワークなど、ローマ帝国の経済と軍事を支えるインフラとして重要な役割を果たしていました。
この道路建設の多くは、兵士たちの仕事でもありました。
ローマ兵のくらしについては
剣闘士と兵士のほんとうの姿|ローマの戦いと軍隊のしくみも合わせてどうぞ。
コロッセオだけじゃない!建築の工夫
古代ローマの建築技術は、今でも世界中で評価されています。
とくに有名なのが、巨大な円形闘技場「コロッセオ」や、神殿のような建物「パンテオン」です。
ローマ建築の特徴
- アーチ構造:石やレンガを使い、アーチ型に積むことで重さを分散
- ドーム天井:天井を丸くすることで、大空間を支える
- 柱と装飾:ギリシャ建築の影響を受けながらも、実用性を重視
これらの技術は、宗教施設や公共施設だけでなく、水道橋や公衆浴場など日常生活の場にも応用されました。
たとえば公衆浴場「テルマエ」では、天井の高い空間に太陽光を取り込む構造や、床下暖房(ハイポコースト)など、驚くほどモダンな工夫が使われていました。
ローマのお風呂やトイレのしくみについては
古代ローマのくらしをのぞいてみよう|服・食事・お風呂のリアルな日常でも詳しく紹介しています。
コンクリートはローマ発明?
古代ローマ人は、「ローマン・コンクリート」と呼ばれる非常に強くて長持ちする建築素材を使っていました。
このコンクリートは、火山灰・石灰・水・砂利を混ぜて作られており、海水にも強く、2000年経っても壊れていない建物があるほどです。
現代のコンクリートと違い、自然に時間をかけて固まり、劣化しにくいという特性がありました。
コンクリートの使い道
- 基礎工事や建物の壁
- 道路・橋・水道の土台
- ドームやアーチなど複雑な形の建築
この素材のおかげで、ローマ人は大きくて丈夫で、美しい建物をたくさん作ることができたのです。
水道・下水・トイレのある都市生活
都市の暮らしを支えたのは、水の管理です。
ローマには水道橋(アクアダクト)が整備され、山から引いた水を都市全体に供給していました。
- 公衆浴場への給水
- 噴水や水飲み場の設置
- 公衆トイレの水洗機能
- 下水道による排水
これらの整備により、古代ローマの都市は現代に近いレベルの衛生環境と利便性を実現していました。

当時の公衆浴場とトイレの仕組みについても
古代ローマのくらしをのぞいてみよう|服・食事・お風呂のリアルな日常をチェックしてみてください。
親子トークタイム!子どもに伝える方法
「2000年前の人が、コンクリートでお風呂を作ってたんだって」と話しかけてみましょう。
「その道、いまの高速道路とつながってるかもよ?」と続けると、きっと驚きと興味が生まれます。
- 「水道橋って、どうやって水を運んだの?」
- 「アーチって、どうして重い石でも崩れないの?」
- 「今のコンクリートよりローマのほうが丈夫なの?」
こうした会話は、歴史だけでなく建築・科学・社会のつながりも学ぶきっかけになります。
家の構造や道路の作りを観察して、「これってローマっぽい?」と一緒に探してみるのもおすすめです。
まとめ
古代ローマは、ただの歴史の国ではなく、「技術でくらしを便利にしようとした人たちの社会」でした。
- 道路や橋でつながるインフラ
- アーチやドームの建築技術
- コンクリートという革新的素材
- 水と下水を管理する都市設計
ローマ人の工夫は、現代の私たちの生活にもたくさんの影響を残しています。
「昔のほうがすごかったかも?」
そんなふうに思える発見が、きっとこの記事の中にあるはずです。