「もしタイムマシンがあったら、あなたは過去に戻ってみたいですか?」
SF映画やマンガでよく登場するタイムトラベル。
しかし、その中で必ずと言っていいほど語られる不思議な問題があります。
それが、「親殺しのパラドックス(Grandfather Paradox)」です。
一見ショッキングな名前ですが、これはタイムトラベルにまつわる論理的な矛盾を示す思考実験で、物理学、哲学、SFの世界で長く議論されてきました。
この記事では、この「親殺しのパラドックス」について、科学的な視点からの解釈と解決の試みを紹介し、ドラえもんや映画を通して子どもでもわかりやすく楽しめる形で解説します。
親殺しのパラドックスとは?|その意味と成り立ち
親殺しのパラドックスとは、次のような状況を想定した思考実験です:
あなたがタイムマシンで過去に戻り、自分の祖父(あるいは祖母)を、親が生まれる前に殺してしまったらどうなるか?
当然、祖父が死ねばあなたの親は生まれず、結果的にあなた自身も存在しないはずです。
でも、あなたが存在しないなら、どうやってタイムマシンで過去に行ったのでしょうか?
このように、原因と結果が矛盾してループする状況を「親殺しのパラドックス」と呼びます。
タイムトラベルの科学|矛盾は本当に起こるのか?
このパラドックスは、「もし本当にタイムトラベルができたら、現実に矛盾が起きるのか?」という問いを私たちに投げかけます。
では、科学の世界ではどのように考えられているのでしょうか?
ノヴィコフの首尾一貫性原理
ロシアの物理学者イゴール・ノヴィコフは、タイムトラベルが可能であっても、「自己矛盾するような出来事は起こらない」とする仮説を提唱しました。
たとえば、あなたが祖父を殺そうとしても、銃が誤作動したり、何らかの偶然で失敗に終わる…など、世界は矛盾を防ぐ方向に作用するという考え方です。
つまり、「過去は変えられない」し、矛盾は自然と起きないようになっているという立場です。
多世界解釈とパラレルワールド
一方、量子力学の「多世界解釈」では、すべての可能性が並行する無数の世界(パラレルワールド)として存在しているとされます。
この立場では、祖父を殺した時点で、新しい世界線(未来)が分岐するため、矛盾は起きません。
つまり「祖父を殺した世界」ではあなたは生まれず、「殺さなかった世界」では今のあなたが存在する。両方が正しく存在するという理屈です。
最新の研究と量子コンピュータ
2020年、オーストラリアのクイーンズランド大学の研究者が量子コンピュータを使って「親殺しのパラドックスを自己矛盾なしに解決できる可能性がある」というシミュレーション結果を発表しました。
これは、量子状態が**「過去に干渉しつつも、最終的に整合性のある状態に収束する」**ことを示唆するもので、実際のタイムマシンこそまだ実現していませんが、理論的には希望がある分野でもあります。
SFとアニメで学ぶ親殺しのパラドックス

このような難しい理論も、物語の中ではわかりやすく、ワクワクする形で描かれています。
ドラえもんで考える時間の矛盾
アニメ『ドラえもん』では、のび太が過去に戻って先祖に会ったり、未来の自分に助けを求めたりするエピソードが数多く存在します。
その中で、「もし過去の出来事を変えたら未来はどうなるのか?」という問いが、子どもにも自然と伝わる形で描かれています。
たとえば、のび太が先祖にアドバイスをして、結果的に現在の自分の環境が変わってしまうようなエピソードは、まさにタイムパラドックスの一例です。
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と『ターミネーター』
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』では、主人公マーティが過去で両親の出会いを妨げてしまい、未来で自分の存在が危うくなる…という展開が有名です。
また、『ターミネーター』シリーズでは、未来から過去に送り込まれたサイボーグが、重要人物を殺すことで未来を変えようとします。これも典型的な「親殺しのパラドックス」です。
親子トークタイム!子どもに伝える方法
このような内容は、親子で楽しく話すきっかけにもなります。
子供にこう話してみよう!
「もし、タイムマシンがあったら、過去に戻って何をしたい?」
と問いかけてみましょう。
子どもが「おじいちゃんやひいおじいちゃんを見てみたい!」と言ったら、
「もし、そこで何かして、パパやママが生まれなくなっちゃったらどうなると思う?」
「そしたら君は生まれてこなかったかもしれないよね」
そんなふうに話を広げると、「親殺しのパラドックス」という難しいテーマも、自分ごととして楽しく考えることができます。
まとめ
「親殺しのパラドックス」は、時間、因果関係、存在の矛盾を突きつける思考実験です。
科学的には完全な解決には至っていませんが、ノヴィコフの原理や多世界解釈、量子理論など、さまざまなアプローチで研究が進んでいます。
そして、SFやアニメを通して学ぶことで、子どもも大人も、楽しみながら科学的思考を深めることができます。
未来の科学がこの矛盾をどう扱うのか、私たちの想像力が試されているのかもしれません。