宇宙飛行士が月面で“ふわっ”と浮かぶ映像を見たことはありませんか?
それは、月の重力が地球とはまったく違うためです。
月には重力がありますが、その大きさは地球とは大きく異なります。
この記事では、月の重力の正体や地球との違い、そして「もし月に住んだらどうなるか?」を科学的に考察します。
ジャンプ力、体の動き、呼吸や生活の工夫まで、重力の違いから広がる想像の世界を一緒に見ていきましょう。
月の重力は地球の約1/6
月にも重力はありますが、その大きさは地球のわずか約1/6しかありません。
つまり、地球で60kgの人は、月では10kgの重さしか感じません。
これは月の質量が地球の1/81と小さく、直径も約1/4しかないためです。
重力は質量と半径に関係しているため、小さくて軽い月では、引っぱる力も小さくなるのです。
このため、月では同じ力でジャンプすると地球の6倍高く飛ぶことができると言われています。
→ 重力の基本についてはWikipedia – 重力も参照してください。
月に住んだら、どうなる?
月の重力環境で生活すると、私たちの体や暮らし方はどう変わるのでしょうか?
いくつかの例を見てみましょう。
動き方が変わる
ジャンプすると高く飛び上がり、着地までに時間がかかります。
歩くよりも「ぴょんぴょん跳ねる」ような移動が自然になると考えられています。
体への影響
重力が弱いと、筋肉や骨にかかる負荷が少なくなるため、筋力や骨密度が減ってしまうおそれがあります。
そのため、宇宙飛行士は筋トレをして健康を維持する必要があります。
建物の構造も変わる
重力が小さいということは、大きな建物でも支える力が少なくてすむということ。
一方で、地震や振動が伝わりやすくなるという課題もあります。
月にあるもの・ないもの
月には地球と違い、暮らすための“当たり前”の条件がほとんどそろっていません。
項目 | 月 | 地球 |
---|---|---|
重力 | 約1/6 | 1(基準) |
空気 | なし(ほぼ真空) | あり(酸素・二酸化炭素など) |
水 | ごくわずか(極地の地下に氷) | 豊富に存在 |
温度 | 昼100℃以上/夜−170℃以下 | 平均15℃前後 |
大気圧 | ほぼ0 | 1気圧 |
これらを補うには、基地の中で人工的な環境をつくる必要があるのです。
→ 月の環境について詳しくは
https://chic-tail.tokyo/moon-environment-comparison
重力の違いを体験するには?
月の重力を実際に体験するのは簡単ではありませんが、
一部の科学館や展示施設では「重力体験装置」などが用意されており、月面ジャンプの感覚を疑似体験できることがあります。
また、家庭でできる簡易体験としては、
- ゆっくりスローモーションで歩いてみる
- 動画を1/6のスピードで再生して、動きを観察する
- トランポリンで浮遊感を感じてみる(注意が必要)
など、“地球とは違う体の動かし方”を考えること自体が学びになります。
実際に月に住むことは可能か?
NASAやJAXAをはじめとする宇宙機関では、月面基地の建設が検討されています。
特に注目されているのが、月の南極付近。ここでは水の氷が地下に存在すると考えられており、飲み水や酸素、燃料のもとにもなる重要な資源です。
将来は、
- 月面に住む
- 作物を育てる
- 観光として訪れる
といった計画が現実になるかもしれません。
まさに、「月に暮らす」という未来は、いま科学が全力で挑んでいるテーマのひとつです。
→ 月面基地や探査の未来はこちら
https://chic-tail.tokyo/moon-exploration-future
【おやこトークタイム!】月の重力ってどう伝える?
「月では軽くなるって本当?」と聞かれたら、こう伝えてみてください。
「月は地球より小さくて軽いから、引っぱる力が弱いんだよ」
「だから、60kgの人でも10kgくらいの力しか感じないの。ふわっとジャンプできるイメージだね」
ジャンプしたり、手を軽く持ち上げて「月ではこれがもっと軽くなるんだよ」と話すと、数字ではなく“感覚”として伝わるようになります。
「じゃあ、月に荷物を運ぶのは楽かな?」「走ったらどうなるかな?」と、話題をふくらませてみましょう。
まとめ
月の重力は地球の約1/6。
この数字は、体の動き・住むための工夫・未来の技術すべてに関係してきます。
・月では同じ力で6倍高くジャンプできる
・筋肉や骨への影響が大きいため、健康管理が重要になる
・建築や生活スタイルも重力に応じて設計が変わる
・将来の月面基地では、重力とどう付き合うかが大きなテーマになる
「重力」という見えない力から、暮らしや未来の宇宙開発までが見えてくる。
その入り口が、月の重力なのです。