「iPS細胞配合」「iPS技術由来の美容成分」と書かれた化粧品を見かけることがあります。
けれど、「それって本当にiPS細胞なの?」「肌が若返るって本当?」と疑問に思う人も多いはずです。
この記事では、iPS細胞と化粧品の関係を、科学的な視点からわかりやすく解説します。話題の商品に対して冷静に考える目を持つことができるようになります。
そもそもiPS細胞って化粧品に使えるの?
結論から言うと、iPS細胞そのものは化粧品に使われていません。
日本をはじめ多くの国では、iPS細胞は再生医療や研究用として厳しく管理されており、直接肌につけるような使い方は認められていません。
ではなぜ「iPS細胞化粧品」という言葉が出てくるのでしょうか?
「iPS細胞技術由来」とはどういう意味?
実際に販売されている「iPS細胞化粧品」は、多くの場合、こうした表現をしています。
- iPS細胞の研究過程で使われた成分と似た成分を使用
- iPS細胞を培養したときの「培養液」や類似技術を応用
- 成分の研究にiPS細胞を使って安全性を調べた
つまり、iPS細胞の培養液や、似た環境で作られた成分を使っているだけで、iPS細胞そのものが配合されているわけではありません。
そのため、「iPS細胞=肌が若返る」というのは、正確ではないのです。
効果はあるの?口コミと科学のギャップ
化粧品のレビューサイトやSNSでは、「肌がモチモチになった」「ハリが出た」といった声もありますが、それらがiPS細胞技術によるものかどうかは不明です。
さらに、iPS細胞の培養液には、たしかに肌に良い成分(成長因子など)が含まれている場合もありますが、それがどれくらい効果を持つのかは科学的に明らかではありません。
また、製品によっては「iPS細胞」という言葉が広告表現の一部になっているケースもあり、薬機法に抵触しない範囲で、ギリギリの表現が使われていることもあります。
「幹細胞化粧品」とは違うの?
「iPS細胞」とは別に、「ヒト幹細胞エキス配合」と書かれた化粧品もあります。
これは多くの場合、ヒト由来の幹細胞を培養した液(培養上清)を成分にしているものです。
ただし、これはiPS細胞ではなく、脂肪細胞などから採取された幹細胞であることがほとんどです。
つまり、「幹細胞」「iPS細胞」「再生医療」などの言葉が混同されていることも、誤解のもとになっています。
注意すべきポイントは?
話題の商品に飛びつく前に、次のような点に気をつけましょう。
- 成分表示や原材料をよく確認する
- 「iPS細胞配合」と書かれていても、何を意味しているかは曖昧な場合が多い
- 科学的根拠が示されていないものには慎重になる
- 誇大な表現に流されず、メーカーの説明をしっかりチェックする
大切なのは、「どこまでが事実で、どこからがイメージか?」を見きわめる目を持つことです。
【おやこトークタイム!】子どもに伝える方法
科学や美容は身近なテーマなので、親子で話すチャンスにもなります。
「かがくのことば」が広告や商品にどう使われているかを見る力を育てるきっかけにもなります。
子どもにこう話してみよう
「iPS細胞が入った化粧品」っていう言葉を見たことある?
でも実は、本当のiPS細胞はとっても貴重で、肌につけるような使い方はされていないんだよ。
商品にかがくの言葉が書いてあると、すごく効きそうに見えるけど、ちゃんと意味を知ってることが大事なんだ。
「本当にそうなのかな?」って考えることが、科学を学ぶ第一歩だよ!
まとめ
- iPS細胞そのものが化粧品に配合されているわけではない
- 「iPS細胞技術由来」とは、研究に使われた考え方や環境をヒントにしているだけのことが多い
- 科学的な根拠が明確でない場合もあるため、誇大広告に注意が必要
- 「かがくのことば」を見極める力を親子で育てよう
iPS細胞は未来の医療に使われる大切な技術ですが、「言葉のイメージ」と「実際の中身」は別物であることを知ることが、正しい情報とのつき合い方につながります。
広告の言葉に惑わされず、自分の目と知識で判断する力を、一緒に育てていきましょう。