私たちの体の中では、毎日たくさんの細胞が分裂しています。
細胞が分かれるとき、重要なのが「DNAのコピー」、つまりDNAの複製です。
1つの細胞が2つに分かれても、遺伝情報が正確に伝わるのは、この複製の仕組みが働いているからです。
この記事では、DNAがどうやってコピーされるのか、その仕組みや登場する酵素の役割について、やさしく解説します。
DNAはいつ複製されるの?
DNAの複製は、細胞が分裂するときに必ず起こる重要なプロセスです。
私たちの体には約37兆個もの細胞があり、古い細胞が死んだり、成長したりするときに新しい細胞が生まれます。
そのたびに、DNAは正確にコピーされ、新しい細胞に引き継がれるのです。
このようにして、体の中のすべての細胞が、ほぼ同じDNA情報を持って働いています。
DNA複製の仕組みを簡単に解説
DNAの複製にはいくつかのステップがあり、複数の酵素が協力して進めています。
複製の流れを順を追って見てみましょう。
ステップ1:DNAをほどく「ヘリカーゼ」
まず最初に、DNAの二重らせん構造をほどく必要があります。
ここで活躍するのがDNAヘリカーゼという酵素です。
ヘリカーゼはDNAの鎖の間に入り、水素結合をほどいて2本の鎖を分離します。
この分かれた部分が「複製フォーク」と呼ばれ、ここから新しいDNAの合成が始まります。
DNAの構造ってどうなってる?“二重らせん”の秘密を探ろう →
ステップ2:新しい鎖を作る「DNAポリメラーゼ」
次に登場するのがDNAポリメラーゼ**という酵素です。
これは、元のDNAの片方の鎖(鋳型)をもとに、新しい塩基を1つずつつなぎ合わせていく役割をします。
塩基には決まった対(アデニンとチミン、グアニンとシトシン)があるため、ポリメラーゼは正しい相手を選んで結びつけていきます。
この作業はとても速く、1秒間に数百個もの塩基をコピーできるといわれています。
ステップ3:方向が違う!?リーディング鎖とラギング鎖
DNAの複製は、両方向に同時に進むわけではありません。
DNAは一定の**方向性(5’→3’)**を持っており、新しい鎖はその方向にしか作れません。
- 連続して合成できる鎖 → リーディング鎖
- 断片的に合成される鎖 → ラギング鎖(岡崎フラグメントと呼ばれる短い断片で合成)
この違いにより、DNA複製は一方向にスムーズに進む部分と、断続的に進む部分が存在するのです。
【おやこトークタイム!】子どもに伝える方法
DNAの複製は一見むずかしく思えるかもしれませんが、身近な例を使って説明すればイメージしやすくなります。
たとえば「チャックを開けて片方の型をもとに新しいチャックを作る」や、「片面の絵をなぞってもう片方を描く」ようなイメージです。
子どもにこう話してみよう
DNAは体の設計図だから、細胞が分かれるときにはコピーが必要になるよ。
最初にDNAをほどくのはヘリカーゼっていう「チャックを開ける人」。
そのあとに、ポリメラーゼっていう「コピー職人」が、片方の鎖を見ながら新しい鎖を作っていくんだ。
だけど、向きが違うから、片方はスムーズに作れるけど、もう片方はちょっとずつしか作れないんだよ。
模型や図を使いながら説明すると、より理解が深まります。
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まとめ
- DNAの複製は細胞分裂の前に行われる重要なプロセス
- ヘリカーゼがDNAをほどき、ポリメラーゼが新しい鎖を合成する
- DNAには方向性があり、リーディング鎖とラギング鎖で複製の進み方が異なる
- 複雑に見えるけれど、正確で効率的なしくみが働いている
DNAの複製は、生命の仕組みの中でも特に重要なプロセスです。
正確なコピーがあるからこそ、親から子へと情報が受け継がれ、体の仕組みが正しく保たれているのです。
親子でそのすごさを学びながら、生命の神秘に触れてみましょう。