「ブラックホールって、全部吸い込んじゃうんでしょ?」
そんなイメージを持っている人は多いかもしれません。けれど、実はそれは少し誤解です。
この記事では、ブラックホールの“吸い込む力”の正体である「重力」と、「光さえ出てこられない仕組み」を、子どもにもわかる形でやさしく解説します。
吸い込むってどういうこと?
ブラックホールが「なんでも吸い込む」と言われるのは、重力がとても強いからです。
でも実際は、「吸い込む」というより「戻れなくなる」が正しいかもしれません。
ブラックホールの中心には、強い重力を持つ特異点があります。
そのまわりには、「事象の地平線」という見えない境界線があり、そこを一度越えてしまうと、光さえも外に出てこれなくなります。
重力ってなに?地球にもある“ひっぱる力”
重力とは、「ものとものとが引き合う力」です。
私たちが地面に立っていられるのも、地球が私たちを引っぱっているから。
これと同じように、星や月にも重力があります。
ブラックホールの重力はどれくらい強い?
ブラックホールの重力は、太陽の何倍もの重さが、ものすごく小さな場所に集まっているため、通常の星とは比べものにならないほど強くなります。
この重力が、「脱出できないほど強い引っぱり」を生み出すのです。
なぜ光も逃げられないの?
普通の星では、ある程度の速さで進めば重力の引っぱりから抜け出せます。
地球でも、ロケットが秒速約11キロ以上のスピードで飛び出せば、宇宙に行けます。これを**「脱出速度」**といいます。
でもブラックホールの重力はあまりにも強いため、脱出速度が“光の速さ”を超えてしまうのです。
光より速いものは存在しないため、光ですら出てこられない──これがブラックホールが“真っ黒”な理由です。
本当に「なんでも」吸い込むの?
いいえ、実はそうではありません。
ブラックホールの近くにあるものが引き寄せられるのは確かですが、遠くにあるものには影響しません。
たとえば、ブラックホールと同じ重さの星があって、そのまわりを惑星が回っていた場合──
その星がブラックホールに変わっても、軌道の距離が同じであれば、惑星の動きもそのままです。
つまり、「ブラックホールになったからといって、全部を無差別に吸い込むわけではない」ということです。
“吸い込まれる”のではなく、“戻れなくなる”
ブラックホールの本質は、「重力によってある境界を超えると脱出できなくなる」ことです。
事象の地平線の内側では、どんなに速く進んでも、外に出られません。
それが「なんでも吸い込むように見える」理由なのです。
親子トークタイム!子どもにこう話してみよう
「ブラックホールは、重たすぎて、近づきすぎたらもう出てこられない“重力のかたまり”なんだよ。
光でさえ逃げられないから、“ブラック”って呼ばれてるんだ。
でも、ぜんぶを吸い込むわけじゃないんだよ。離れていれば、ふつうの星と同じなんだ。」
重力や光の速さなど、難しいことをわかりやすく伝える入り口になります。
まとめ
- ブラックホールが「吸い込む」と言われるのは、重力が極端に強いため
- 光さえも外に出られないのは、「脱出速度」が光速を超えるから
- 事象の地平線を超えると、戻れなくなる(ここが“吸い込むように見える”境界)
- 遠くにあるものは吸い込まれず、重力の影響はふつうの星と変わらない
- ブラックホールは「怖い穴」ではなく、物理法則が極限まで働く不思議な天体
▼ ブラックホールの中ってどうなってるの?
▼ ブラックホールでは時間が止まる?
▼ ブラックホールは地球に影響あるの?