2025年4月、トランプ前大統領が掲げる「相互関税」構想が再び注目を集めています。選挙演説で明言されたのは、アメリカ製品に不公正な関税を課す国に対して、一律10%の報復関税を課すという政策です。
この構想は、日本の自動車・電子部品・農産物など、アメリカ市場に多く輸出している産業にとって大きなリスクをはらんでいます。政府や企業も対応に乗り出しつつあり、相互関税が再燃することで日本経済にどのような影響が出るのか、最新の動向を整理します。
アメリカの新関税案と日本の立場
今回の構想で特徴的なのは「一律10%」「交渉不要」「同盟国も対象」といった強硬な姿勢です。トランプ氏は、中国に加えて日本やEUなどの同盟国も「関税バランスが不公平」として名指ししています。
日本は現在、アメリカにとって第4位の輸入先です。過去には自動車関税が焦点となり、WTO(世界貿易機関)での議論にも発展しましたが、今回もその延長線上にあると言えるでしょう。
このような政策の背景には「国内産業の保護」や「雇用維持」を目的とした産業政策的な意図があります。
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影響が懸念される主要輸出産業
自動車産業
日本からの完成車・部品の対米輸出は依然として大きな割合を占めています。もし10%の相互関税が課されれば、現地価格の上昇により販売が落ち込む恐れがあります。また、現地生産を進めるトヨタやホンダにとっても、部品輸出のコスト増は無視できません。
半導体・精密機器
半導体や光学機器など、アメリカの産業に不可欠な日本製品もターゲットになり得ます。これらは調達先の選択肢が多く、アメリカ企業が台湾・韓国製に切り替える動きが出る可能性もあります。
農産品
みかん、和牛、日本酒など、日本の一部農産品も過去に報復対象となりました。米国市場への輸出額は限定的ながら、特定地域の生産者への影響は小さくありません。
政府と企業の対応
2025年4月現在、経済産業省では「相互関税の影響分析と対策本部」の設置を検討中です。民間企業とも連携し、被害予測やサプライチェーンへの影響などを数値化して可視化する方針です。
一部の輸出大手は、アメリカ国内での生産比率を高める方針を再強化。中小企業のなかには、輸出依存のリスクを避け、ASEAN市場へのシフトを進めるところもあります。
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親子トークタイム|子どもにこう話してみよう
「アメリカが“日本の物にはもっとお金をかけよう”って決めようとしてるんだよ。そうなると、アメリカで売るときに高くなっちゃうから、日本の工場が困るかもしれないんだ。」
「だから、国や会社の人たちが『どうしたらいいか』を今すごく考えてるんだね。」
今後の注目ポイント
- 2025年6月に予定されているアメリカの対外関税措置が実行されるかどうか
- トランプ氏の選挙戦略として相互関税がどこまで実現に向かうか
- 日本政府の対応と、日米経済対話の成果
関税は「専門的で遠い話」に思えるかもしれませんが、実は私たちの身近な暮らしや物価にもつながっています。これからも変化の行方を追い、社会や経済を正しく理解する力を育てていきましょう。