「夜なのに、太陽が沈まない」
そんな現象が、実際に世界のどこかで起きていることを知っていますか?
この現象は「白夜(びゃくや)」と呼ばれ、北極圏や南極圏など特定の地域で見られる、昼と夜の境目が崩れる不思議な自然現象です。
この記事では、白夜とは何か、なぜ起こるのか、どこで見られるのかを、地球の動きと太陽との関係を軸に、やさしく科学的に解説していきます。
白夜とは?簡単に言うと…
白夜とは、一日中太陽が沈まない、または夜になっても明るい現象のことです。
文字通り「白い夜」。太陽が地平線の下に完全に沈まず、夕方のような明るさがずっと続く状態です。
正確には、日付が変わっても太陽が地平線より上にあるため、“夜になっても昼のような明るさが続く”現象と定義されます。
白夜が起こるしくみ|地球の傾きがカギ
白夜は、地球が太陽のまわりを傾きながら回っていることから生まれます。
地球の自転軸は、公転面に対しておよそ23.4度傾いています。
この傾きによって、季節が生まれるだけでなく、昼と夜の長さも変化するのです。
夏になると、北半球では北極側が太陽に向かって傾くため、北極圏では太陽が沈まなくなり、白夜になります。
反対に、南半球の夏には南極圏で白夜が起きます。
この現象は「極地日照(きょくちにっしょう)」とも呼ばれ、
地球の公転と自転のしくみ(Wikipedia)にも詳しく解説があります。
白夜はどこで起きるの?
白夜が見られるのは、地球の北極圏・南極圏です。
具体的には、
- 北極圏(北緯66.6度より北):ノルウェー北部、フィンランド、スウェーデン、ロシアの一部、アラスカ、カナダ北部、グリーンランドなど
- 南極圏(南緯66.6度より南):南極大陸とその周辺地域
これらの地域では、一年のうち数日〜数か月にわたって太陽が沈まない期間が続きます。
白夜の期間は緯度によって変化し、北極点では5月から7月まで、まったく太陽が沈まない日が続きます。
白夜の空はどう見える?
白夜といっても、真昼のように明るいわけではありません。
時間帯によって、空の色は変化します。
- 日中:低い角度の太陽が照らすため、夕方のようなオレンジ色になることが多い
- 深夜:太陽は地平線近くを移動し、うすい青やピンクがかった空が広がる
このため、「真っ暗な夜が来ない」というよりは、「一日中夕方のような光が残っている」という感覚に近い現象です。
白夜が起こるのはいつ?
北極圏では、白夜は5月中旬から8月中旬にかけて発生します。
地域別に見ると:
- ノルウェー・北極圏:5月下旬〜7月中旬
- フィンランド北部:6月〜7月
- 北極点:5月から7月末(約2か月間沈まない)
- 南極圏:南半球の夏(11月〜1月頃)
反対に、冬になると“極夜(きょくや)”という太陽が一日中昇らない現象が発生します。
白夜と極夜は、地球の傾きによって生まれる、対になる自然現象です。
白夜はずっと明るい?夜にならないってどういうこと?
白夜が続くと、生活リズムがくずれることがあります。
昼と夜の境目がわかりにくいため、体内時計がずれてしまったり、眠れなくなる人もいます。
そのため、北欧などでは、
- 遮光カーテンで部屋を暗くする
- 夜にキャンドルを灯して“夜の感覚”を演出する
- 食事や活動時間を固定して生活リズムを維持する
といった、白夜と上手につきあう文化的工夫が見られます。
【おやこトークタイム!】白夜ってどう伝える?
白夜を説明するとき、「昼と夜のちがい」があいまいになることに戸惑う子もいます。
そんなときは、昼と夜は太陽の見え方で決まっていること、そして白夜は“例外的に太陽が沈まない”場所があることを伝えましょう。
「いつもなら夜になると太陽は沈むけど、白夜の地域では、夏の間はずっと太陽が沈まないんだ」
「地球がちょっとかたむいているから、北のほうではずっと太陽が見えるんだよ」
地球儀を使って、傾きと太陽の光の当たり方を再現してみると、視覚と体感をともなった理解が生まれやすくなります。
まとめ
白夜は、地球の傾きと太陽の位置によって生まれる、
**「昼と夜の常識がくつがえるような自然現象」**です。
・白夜は太陽が沈まない、またはずっと明るい状態が続く現象
・地球の傾き(約23.4度)が原因で起きる
・北極圏・南極圏など、特定の高緯度地域で見られる
・夕方のような空が一日中続き、生活にも影響を与える
・白夜と極夜は対になる現象で、季節によって交互に現れる
太陽が沈まない世界を知ることは、
私たちがあたりまえに思っている「昼と夜」のしくみを、まったく違う角度からとらえ直す体験でもあります。